営業畑で育ってきた私ですが、営業として痒いところに手が届く、というのは大変な褒め言葉です。
弊社はまだまだ小さな会社ですが、そうしたモットーは今なお大事にしたいと考えているところです。
ところが、中国での営業で痒いところに手が届く人材というのは、そうした教えが少ない中で、なかなか難しいところでもあります。
おもてなし、というほどではないのですが、我々日本の営業マンというのは就職してからずっとそうした、気付きができることが一つの大事なスキルでもありました。
中国で営業職の人材を募集しても、同じような方針で人事判断や指導をしても上手くいかないケースが多かったと感じます。
そのため、むしろ経験というよりも、こちらが教えたことを吸収する下地の多い社員を雇用することで心がけていて、その点は大変功を奏した記憶があります。
顧客先で全く別件の相談を受けていた際に、たまたま話の流れで人事雇用の件についての話になったので、私の経験をお話しし、それを実践して成功したとおっしゃっていただきました。
我々中国事業のコンサルティングを生業としている側からすれば、お客様の成功が何よりですので、それは関係ないコンサル業務の中でもお役に立てたことは大変光栄でした。
中国で事業を行っていると、発想の転換が奏功するケースが多いと感じます。
一途な理念が、時にそぐわない、受け入れられない場合が残念ながら、あります。
しかし、理念というのはあくまでも目的達成の手段であり、その理念の先の目的に目を向けると、中国には中国に適した理念がまたあるはずです。
痒いところに手が届く、のは日本人顧客に対しては必要なスキルの一部かもしれませんが、その理念はあくまで手段であり、最終的に意味するところとしては、顧客満足度が高める営業をすることが目的といえます。
痒いところに手が届き、かつ顧客満足度が高いことが理想形であるかもしれませんが、中国では顧客満足度を高めるためにスピードがある提案と対応があれば痒いところに手が届かなくてもいいケースが多いかもしれません。
中国人従業員の発想が日本人と違えば、中国人顧客の発想も日本人とは異なるのは当然です。
また手段ばかりをフォーカスしていても目的を達成できなかったり、結果主義の中国には受け入れられないケースも多く、それらはケースバイケース。
結局は冒頭のように理念を大事にされるのであれば、経営者が与える理念を受け入れる、吸収できる人材に目を向けることが大事なのかもしれません。