※コロナ関係の政策について何が正しいかという議論ではなく、あくまで現状と今後の展望を考察するコラムです。
すでに多くの方がご存じの上海市ロックダウン。
私は今日本にいるのですが、上海現地の社員らは当然自宅待機。
コロナ関連の話題はあまり前向きな気持ちにならないのですが、これだけの一大事となれば避けては通れない話題です。
一概にロックダウンと言っても日本人からすればピンときませんが、現状、上海市では完全な外出禁止で、町の動きそのものが完全にストップしている状態です。
今までも記事にしてきたようなサービス業を代表する企業だけではなく、あらゆる業種のビジネスがストップしている状態です。
上海市、北京市、深セン市は、言わずと知れた南北と中央を代表する経済地域です。
その一つの上海市は今まで小規模な隔離措置が取られていましたが、ここまでの大規模なロックダウンは初めてのことです。
振り返ればこの小規模(マンション一棟、一店舗)な封鎖措置にとどまっていたことも、ゼロコロナ政策と大々的に謳うにはやや疑問ではありましたが、やはり中国政府としても上海市の経済を止めてはいけないと考えているのでは、と一部ではそんな邪推もありました。
一転して今回のゼロコロナ政策は、現地の人々からしても「なぜ?いきなり?」という困惑の声が挙がるのは当然のことかもしれません。
上海に15年以上滞在しているとある企業の経営者であるY社長。
度々弊社のコラム内に登場しますが、彼は私からすれば経営、経済の大先輩であります。
そんなY社長は4度目の隔離措置を十分に理解したうえで春節中に台湾に戻り、中国での隔離期間中に暇を持て余してか、私に連絡をしてくれました。
そこで彼から繰り出されたのは新たな発想でした。
「俺の予想では、3か月前後の6、7月あたりに中国入国の隔離措置はほぼなくなる」
そんなお言葉でしたが、この電話は3月初旬頃のこと。
今回はさすがにY社長の予言は的中しそうにないと個人的に感じていますが、このY社長は極端な楽観論、希望論を振りかざして、理論を展開するような人ではありません。
彼が言うには現状多くの国が入国制限を行っておらず、その感染状況がすでに落ち着いているような傾向があれば、中国としてもそうせざるを得ないだろうということ。
しばらく連絡を取っていませんが、もしかしたら彼の意見は今でも変わっていないかもしれません。
この上海のロックダウンはある種、研究であり、実際の経済的なダメージがいかほどで、今後どうすべきかを考察する過程なのかもしれない、と。
ただ、やはり私はこのY社長の一連の思惑は理論的に破綻しているのではないかとも感じます。
そうなると必然的に導かれる回答はただ一つ、中国全土で軽重の差はあれど、ある程度徹底したゼロコロナ政策が続くのではないかということです。
個人的には全く喜べることではありませんが、客観的かつここまでの流れを見ると、いつまで続くかは分かりませんが、ビジネスをする上では厳しいゼロコロナの措置が取られていくのではないか、というのが、私個人的な意見です。
ここ数日、Y社長だけではなくあらゆる中国のお取引先様含めた人から連絡をいただきます。
日本の状況を知りたい人。
比較的自由に行動できる日本でできるビジネスを模索する人。
暇を持て余し、ただただ雑談をしたい人。
いずれにしても、中国の経済を支えている企業人がチャットに興じるしかビジネス展開がしにくくなっていることの証左でもあります。
明らかに経済に貢献できていない状況が続いています。
こうした中では、これではどうしようもない、という声も大きいですが、Y社長のように楽観視を展開する人々も少なくありません。
楽観視したいと思えるほど、動けない、動きにくい現状はビジネスマンとしてはかなり厳しい局面に立たされていることは疑いようがありません。
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