□中国企業に対するプレゼン資料
ちょっとドタバタとしていたので更新が滞ってしまいました。
とある中国企業の方とのコミュニケーションの中で、ふとした雑感がありまして記事にしてみました。
少し大きなプロジェクトのために、プレゼン資料を作成する必要がありました。
「内容を盛る」とか「風呂敷を広げる」なんて日本語がありますが、中国で中国企業向けのプレゼン資料というのは、だいぶ「大盛り」にしないといけません。
そのため内容には正確性がなければいけませんが、ちょっとくらい「盛る」、いや「大盛り」くらいでないと、メンツ重視の中国企業の心に響かないことも多いです。
こうしたプレゼン資料はどうしても日本人の手では中国人の心に届くものが作れません。
今回は時間的にも急ぎで、スタッフにも時間がないこともあり、少し大きなプロジェクトなので、協力会社にお願いすることにしました。
■中国企業とのメールのやりとり
弊社のお取引先様には設計会社様が多く、それに関連してデザインを手掛ける企業様とも多くお付き合いがあります。
そのうちの1社(3名程度の小さなデザイン会社)のスタッフZさんとメールでやり取りをしていた実話(ザックリと翻訳)です。
私「ちょっと急ぎなのですが、10枚程度のプレゼン資料を御社で作成してもらった場合の納期と価格を教えてもらいたいです」
Z「そちらの資料だと、10枚だと急ぎでも1週間くらいは必要ですね」
私「価格はどのくらいですか」
Z「10枚ですので、、内容にもよりますが、およそ6,000元くらいですね」
私「え?6,000元?いくらなんでも高くない?」(ゼロが多いのかと何度かメール本文を確認)
Z「いえいえ、うちの老板(社長)から御社への価格は特別に安価で受けるように言われてます。市場価格は1枚800~1,200元なので、すでにかなり安くしてますよ!」
私「ああ、、、そうですか、すいません。ちょっと大幅に予算を超えてしまったので、ビックリして。ちょっとしたプレゼン資料に6,000元は厳しいなあ。ちょっと考えさせてください」
Z「そうですか、逆にご予算はどれくらいですか?老板に掛け合ってみますけど」
私「いや、、ごめんなさい、全然考えていた予算を超えてしまっているので、恥ずかしくて。。。納期も1、2日ででいるものだと考えていて、価格も1,000元とか2,000元程度で考えていました。」
Z「それはどちらも無理ですね」(キッパリ)
私「いやはや貧乏人なもので、お恥ずかしい。またお声掛けしますね。。。」(バツが悪い)
そちらの企業の老板には後日、小さい仕事の話をしてしまい、申し訳ないね、とお伝えしたところ、Zさんと私の完成度の感覚が少し異なったのかもしれないと、逆に謝られてしまいました。
□時給計算すると、確かに違和感がない。。。
初めに断っておくと、こちらの企業の老板とは5,6年のお付き合いで、さすがに私がボッタクリを仕掛けるような相手ではないと分かっているはずですし、そもそも、彼らはそういう会社ではありません。
提示された1ページ800元や1,200元が、老板が言われるように私が依頼しようとした単発のプレゼン資料ではなく、高級感のある資料作成の市場価格だったとしましょう。
しかし、時間的に1週間の資料作成に10,000元(約15万円)ともなれば、大企業でもない私が驚くのも無理はないはずです。
もちろん依頼した相手が田舎街の印刷屋さんではないことは重々承知で、スキルの必要な職種だということも十分理解しています。
ですが、どうしても私の常識では計算が合わないような気がして、冷静に計算してみることにしました。
10,000元 ÷ 7日 ≒ 1,500元(22,500円) ※日給
1,500元 ÷ 8時間 ≒ 190元(2,850円) ※時給
これが特別価格だとしたら、本来は、この1.5倍前後の提示金額になるわけです。
私も経営者の端くれです、事務所経費や税金などを考えれば、あれ?おかしな数字ではないなと、ようやく勘付きます。
私は普段見積りなどを含めて、価格を見るときに人民元をわざわざ円換算しなくとも、すっと価値観、価格相場が頭に入ってくるタイプです。
日本とほとんど変わりがないようですが、確かに時給換算すると、違和感がない数字です。
今更ですが、時代の流れに完全に置いてけぼりになったかのような気持ちになり、同時にZさんとのメールのやり取りが、改めて恥ずかしく感じられてしまいました。。。
今や上海などの都市部のマッサージ屋さんでも1時間200元に届きそうな勢いです。
こう考えると時給190元という数字は、別途事務所経費などを考えれば決して高い数字ではなく、むしろ妥当です。
中国で長く生活を送ってきたお陰で、未だに4,000元手取りの給与が普通だと考えてしまうことがありますが、今や10,000元のサラリーも当たり前です。
見積金額を査定する場合に、時給換算をすることは常套手段です。
ですが、あまりにも時代の流れの早い中国でその根幹を常にアップグレードしなければならないと考えると、経営者としてはこの先どうなってしまうのかと考えさせられる出来事でした。
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