□タオバオの便利さに触れてしまいました。。。
少し業界が異なるので、ネットショッピングや物流といったものに、あまり詳しくない私。
もちろん同僚やら知人から「タオバオでこんなものを買った」とか、「それならタオバオで買えますよ」、などなど見聞きする機会はとても多かったのですが、ほとんど自分自身で利用することがありませんでした。
今では天猫(タオバオ系列)やら京东やら唯品会などなど、、新しいネットショップのツールもたくさんありすぎて、ついていけません。
何だかブームもとっくに過ぎ去ってしまって、いつの間にやら中国人の生活の一部とも言える中国ネットショッピングの波は、40代を控えたオジサンにとっては、なんだか今更手を出しにくいツールになってしまっていました。
■何でも買えてしまうことが分かってしまったタオバオの利便性に今更気付く
先日弁護士事務所を訪れた際に、「司法拍卖」と呼ばれる、所謂倒産企業の「競売品」はタオバオでも売買されるんですよ、と聞いてビックリしました。
弁護士さんに「ほれ、見てみ」と言われて差し出されたそれには、競売品となる土地や建物、工場やその施設内の設備などがタオバオの画面上に魑魅魍魎と繰り広げられていました。
未だに何だか敷居の高い存在としても感じられてしまう弁護士事務所でまさかタオバオを紹介されるとは思っても見なかったのですが、それほどタオバオというネットショッピングのツールはあまりにも常識で、中国人にとっての不可欠な必需品であると実感した次第です。
タオバオを使ったことがほとんどないと伝えると、ビリッとしたスーツに身を包んだ弁護士さんが椅子から転げ落ちそうなほど強烈な反応を見せたのは、それだけ当たり前のものなのに!ということでしょう。
□買い物依存症になりそうなリアルタイムの情報
そんなこんなで私個人的にほぼ初めてタオバオに手を染めてしまいました。
今までは事務所で必要な製品などを従業員さんにお願いして仕入れてもらうことがあり、そのツールの一つがタオバオであることは十分認識していたのですが、自分で使用するのはほぼ初めてでした。
結論から言ってしまうと便利すぎて愕然とさせられます。
上海市に住んでいる私がタオバオを利用しなかった理由は、生活する上での最低限で既に便利な街だからです。
人口の多さもありマンション住まいになりますが、マンションの階下には軽食できる施設がたくさんあり、徒歩で10分圏内にコンビニはおろかスターバックスがあり、もう少し足を伸ばせば地下鉄に乗ることができるからです。
昭和生まれの田舎育ちの私からすれば、これ以上の利便性を求める理由がないと考えてしまうのが普通です。
まずは恐る恐る体験してみましょうかという程度の生活必需品を購入してみたのですが、あっという間に手元に届いてしまいました。
11月11日の独身セールと被ってしまったので、想定よりは遅い到着になったのですが、それでも2、3日で欲しい物が手元に届くこの何とも言えない購買意欲のアドレナリンが溢れ出る感覚がありました。
そしてこのタオバオの「ヤバい」ところは、、、
このように物流の状況が手に取るように分かることです。
こちらの画像は既に届けられてしまった後なのですが、画面上にトラックが表示され「発送しました」とか、原付バイクに切り替わり「上海に入りました!」などと、ほぼリアルタイムで表示が更新されてくるのです。
冒頭のように、すっかり世間的なオジサンになった私ですが、小さな部屋でこの商品が届けられる興奮を待ち続けていたのですから、呆れてしまいそうですが、これは確かに流行るわなあ、、と感心させられた次第です。
■ネットショッピングの隆盛で物流が進化
そのネットショッピングを支えるのが物流です。
やはり業界が違うので、物流にも疎い私でしたが、以前ソフトバンクグループの孫正義会長が、いつぞやビジネス系のテレビ番組に出演し、ネットショッピングと物流の重要性を唱えていました。
コロナ禍も手伝って日本でも非接触型の購買方法などは注目されるところですが、もとより国土の広い中国において、物流の利便性、スピードは大きなポイントでしょう。
それから、思えば数年前から居住していた上海のマンションだけでなく、そこら中に設置され始めていた宅配ボックス。
以前にも利用したことはあったのですが、改めてビジネスマン、会社員にとってのその宅配ボックスの利便性、合理性はよく理解できるところです。
宅配ボックスの商品は、ショートメールで届いた暗証番号のようなものをタッチパネルで入力操作をするだけで、簡単に受け取ることができます。
今回はやはり独身の日セールと被っていたせいか、一部の商品は宅配ボックスに入り切らなかったのか、近所にある集積所に送り届けられていました。
これもやはり上海ならでは、徒歩2、3分の距離に20m2程度の面積の集積所があり、その中は荷物で溢れかえっていました。
スマホに届いたショートメールに従って集積所を訪ね、番号と自身の住所を告げると、アッサリと荷物を受け取ることができました。
宅配ボックスについては荷物が届けられてからしばらく受け取りをしていないと別途料金が必要となったりしますが、小さな荷物はこちらでも送ることができてしまいます。
電子決済はもちろん、こうしたあらゆる物流のサービスが進化して、このような利便性の高いネットショッピングを楽しむことができるのでしょう。
そういう意味では中国のIT発展はこうした生活スタイルに欠かせないものです。
□ネットショッピングが生む社会的弊害も
もちろん良いことばかりではありません。
中国のネットニュースでは度々報じられるのが宅配業者の非倫理的な荷物の取り扱い等です。
これは飲食物のデリバリーについても取り上げられますが、第三者を経由して手元に届けられるシステムの中ではそうした企業倫理などが徹底されていなければなりません。
それから今回特に感じられてしまったのが、過剰包装についてです。
画像はたった一つのインスタントコーヒーが送られてきた際の包装です。
製品の破損防止のためこうした包装は確かに不可欠ではありますが、一方でたった一つのインスタントコーヒーの包装にこれほどまでも無駄な包材が使われてしまう、という点は少し心苦しくなってしまいます。
トラックで輸送されるまでの二酸化炭素の排出など、考え出せばキリがありませんし一長一短でもありますが、決して健康的で地球に優しいシステムではないかもしれません。(もちろん買い物に出向けば多少の無駄はありますが)
■その他にも中国政府が懸念する弊害が
今回の独身の日におけるセール。
実は日本の報道でも一部目にしましたが、先述のように二酸化炭素の排出問題を指摘する声が上がっていました。
毎年売上高が何千億元(数兆円)とも言われるこの11月11日(双11と呼ばれます)のセールですが、今年のセールはややトーンダウンした広告宣伝にも感じられました。
一部では独禁法や政府の二酸化炭素の排出減少運動に反するということで、政府当局への配慮というニュースもあり、定かではありませんが若干そうしたトーンダウンの傾向があったのは明らかです。
2021年の売上高も3,000億元(約5兆円)を超えると言われ、その盛況ぶりは相変わらずだったようですが、今後どのように取り組まれるかは微妙なところです。
政府が懸念する社会的弊害は、二酸化炭素の排出問題だけではなく、躺平组に代表される国民の労働意欲の減少にも関連するのではないでしょうか。
というのも、中国政府が公にこの躺平组(所謂ニートのようなもの)を批判したのが先月、先々月のことです。
時系列からすればこのネットショッピングの隆盛に逆らったタイミングでもあるようにも見受けらておかしくありません。
実際にこうしたネットショッピングを生で経験をしてみて、中国人の生活必需ツールになるのは当たり前だと感じられ、あまりにも便利すぎてしまうと恐怖心さえ感じました。
また、一部の中国での報道では、借金をしてまでネットショッピングに興じてしまうという、買い物依存症(购物狂)の増加による社会問題も指摘されていました。
便利さが生み出す弊害、経済発展の真っ只中にいる中国で、そうした社会的問題に対する合理的で社会的な解決方法が見いだされるかは注目すべき点かもしれません。
とはいえ日本のGDPの1%に当たるほどの売上ですから、何だかなあ、、、改めてその経済の規模感にも驚かされる中国のネットショッピング事情です。
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