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2021-05-10
論破する人、できる人。

所謂コンサルティングという仕事をさせてもらっていますが、コンサルティングと聞けば何となく妙な仕事だと思われることは今に始まったことではありません。

それがまた中国に関するコンサルティング、と言えば、すごいですね!と言われるよりも訝しい目で見られることの方が多いかもしれません。

さて、そんなコンサルという言い方、私自身もあまり好きではないので、お手伝いさん、くらいが丁度いいような気もするのですが、コンサルの対象が中国企業向けとなると、日本とは違ってかなり骨が折れます。

これは中国あるあるかもしれませんが、突拍子もない意見が突如として飛び出してくるからです。

長期間担当者間で綿密にプロジェクトの進行を打ち合わせをしていたのに、老板なり決裁権のある権限者が突然打ち合わせに顔を出して、こんな商品があるらしいけど、これ、使えるだろう?と聞いてきます。

こうなると現場は大混乱です。

進行中のプロジェクトなので、今回の件は具体的には明示できませんが、例えるのであれば、エアコンの能力や設置場所まで綿密に打合わせをしていたのに、老板が突然「扇風機でもいいだろう?安いし。」などと言い出し始めるのです。

確かに論理的には扇風機もエアコンも同じ目的を果たすための商品ではありますが、能力的に当然足りない訳です。

ですが、この能力的に足りない扇風機とエアコンがどう違って、何がダメなのかを説明しなければ納得してくれません。

私にも、ひろゆきさんのような論破力が欲しいと思わされるのですが、こうした鶴の一声が中国でコンサルティングをする上で最も骨が折れる状況と言えるかもしれません。

その点、中国の営業マンはその点が大変達者です。

論理的とも言えなくてもまくし立てるような中国語で相手を説得する能力というのは、とても真似できないもので、大変羨ましい限りです。

私は残念ながらそうした折衝上手な中国人よりも、どちらかと言えば技術的に計算のデキるパートナーと組んでプロジェクトを進めることが多いのですが、こうしたケースは往々にして、こちらの説明が難しすぎて共感を得にくいという点があります。

今まで見たことがありませんので、扇風機では無理です。とか

業務用扇風機は○○m先までしか効果がないので、当プロジェクトで△△m2の××mに必要な扇風機が何台となり、1台あたりが□□元なので、電気代を考慮するとエアコンの方が優れています!とか

などと感情的、論理的に言葉を並べても中国老板は説得できません。

言っていることは正しいのだけれど、それを理解させる能力は商品知識や豊富な経験だけではないというのが、中国あるあるなのです。

と、ここまで話すとただの仕事の愚痴になりそうですが、未だに私がなかなか達者になれない弱点でもあるかもしれません。