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2020-07-23
経営範囲を甘く見ないこと。

少し過去の話になりますが、私が聞いた中国での失敗事例をご紹介します。

中国で会社登記をすると立派な営業許可証が出来上がり、ニンマリしたことがある方も少なくないかと思います。

経営範囲を会計会社が言うように幅広くとっていたとある会社の話です。

私は会社設立(もしくは定款の変更など)は経営戦略に関係するため、よくある会計の専門会社に一任することはあまりお勧めしません。

例えば製品を輸入して組付けして販売する、といったことを主たる生業としていて、その点を見落とすことはまずありません。

貿易、加工、輸出入、思いつくところかと思います。

では、その中に設計があるとしたらどうでしょう、メンテナンスがあったとしたらどうでしょう、試運転や工場を間貸しすることがあったらどうでしょう。

この経営範囲、ほとんど幅広く設定されると思いますし、中国で1億、10憶円を売り上げる会社であれば、尚更、そして何と言っても異国であることも意識しなければいけません。

もちろん定款は変更することが可能なのですが、面倒になってしまってついつい適当になってしまう部分でもありますが、むしろこの部分が最も大事だと言えます。

話は戻って、とある会社の話、日本では会社案内のカタログの最終ページに飾りのように書いてあったコンサルティング部門。

実際のところ実績もほとんどなければ、ただ自社の紹介として幅広いバックアップができることをメインにしたものでしたが、それに興味を示したのがとある中国のデベロッパー。

具体的には記しませんが、例えば多くの業種の自社カタログで目に付くのが、建築業や設備販売業、飲食サービス業などでも開業の立地調査や専門分野の運営コンサルなどの紹介。

カタログを作った当初は、業界屈指の企業なのでこんなこともお手伝いできますよーというお手伝いで載せたそれは、中国企業にとっては大変魅力的なものです。

ノウハウを教えてくれるなんて!と興味を持つことは少なくありません。

そんな中実際に数名のスタッフを投入し、本業の受注のために事前に立地調査や計画案などにあれこれと意見をする立場に指名されます。

つい今日の今日、書いたばかりですが、中国では本業の契約もなしにプロジェクトに参加したケースで、プロジェクト完工までにそのコンサルティング会社が最後まで協力関係にあることは非常に稀であると言わざるを得ません。

その企業も残念ながら社長や現場の上層部の意見に振り回されて実力を発揮できないまま契約解除を言い渡され、本業での受注はおろか残念ながら人件費としてのフィーももらえずじまい。

それならばと、裁判で決着をつけようと思ったところ、ネックになってしまったのが経営範囲。

貿易や加工といった本業の製品販売こそ経営範囲に定められていますが、契約書に明記された顧問業などのサービス関連の項目が入っていないのです。

これは万事休す、裁判での焦点ともなってしまい、資格がないと見なされて、裁判での勝ち負けはおろか契約成立そのものの土台にさえ立てない、という結果になったのです。

私が設立をお手伝いさせていただいたいくつかの企業さんでも必ずと言っていいほど、この経営範囲にサービス提供や顧問業などを入れるように言っているのはそのためです。

日本ではほとんど起こりえないような表面的なノウハウ提供の需要が高く、欲している顧客というのは大変多いということが、そもそもの日中の違いによる点でもあるかもしれません。