日本では当たり前のように行われる温浴施設内の設備メンテナンス。
ですが、中国ではなかなかメンテナンスを重視する傾向がありません。
いくつか理由はありますが、まずは以前にも書いたように、計画している投資回収のスピードが早いため、修繕費の項目が端折られていることが多いです。
3年で回収すると目論む中国の投資では無駄なコスト削減が至上命題となってしまい、本来の目的であるはずの快適清潔な施設提供という顧客満足度の追究が出来ていないことが多いと言えます。
一般的に日本の温浴施設運営計画では建築や設備が徐々に老朽化するため、修繕費は年々増やしていくことが多いのですが、中国の計画書では最初からずっと同じであったり、そもそも修繕費の項目が見当たらなかったりと杜撰な面が見えます。
次に、とある温浴施設のオーナーからも直接聞いたことですが、初期投資も抑えているため建築や内装、設備の老朽化はそもそも日本より早く、また運営管理もアルバイト任せなので、老朽化の早さもしかり、特にお客さんが見えないようなバックヤード設備室などがすぐに汚れてしまい、オープン時に戻すことがそもそも困難であること。
中国でこうした計画から参入したプロジェクトでは、まさか建築物そのものを消耗品と捉えているような印象さえあります。
もちろん設備も建築も老朽化と共に、消耗はしていくものですが、使い捨て感覚とでも言いましょうか、あまりにも軽くとらえられている部分があるのです。
パパっと儲けてパパっと撤退する、これがよくある中国の個人オーナー、中小規模の企業の投資への考え方の問題点とも思えます。
確かに投資をして、回収をする速度が早いのは良いことですが、より儲けるためには長く使える施設であった方が安定的な収益を見込めるようにも思えます。
しかし、一方で家賃の上昇幅が予想を超えてくることもあり、当初の計画が破綻してしまうリスクも考えなければいけないという中国オーナーの主張もあります。
何が正しいということではありませんが、せっかくなら長期に誇れる施設づくりを計画してほしいと切に願うところです。