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2021-10-19
温浴施設のレジオネラや吸込み事故と中国

あれだけ厳格に管理されている日本でもレジオネラ菌による死亡事故や浴槽金物の吸込み事故がごく稀に起きてしまいます。

中国では温浴施設の水質管理やその設計において厳格な規定がありません。

プールや建築物全体にこそ設計指針はありますが、温浴施設というカテゴリーに対しての法律の規定はないのです。

以前にもこちらで書かせていただいたように、中国のローカル施設の衛生管理はかなり杜撰で、その環境はかなり劣悪です。

施設全体にジメッとした雰囲気があり、浴場内ではスリッパを履くのであまり気になりませんが、ヌルヌルとした床は気が滅入りますし、何よりも換気がきちんと行われているか微妙で、カビ臭さを感じることはごく普通です。

中国語の温浴施設では温泉施設、温泉館、洗浴中心、洗浴、浴場、浴室など、その表現方法は数多いものの、それぞれが日本の健康ランドやサウナ、日帰り温泉、スーパー銭湯、公衆浴場といった定義の区別が明確にはありません。

しかし、所謂日本の公衆浴場(?)と同じような定義で、地域に一つあるような『澡堂』と呼ばれるお風呂屋さんのカテゴリーがあります。

いずれの呼称も、カテゴリーも前述のようないくつかの温浴施設を意味する言葉の中に明確な区別はないのですが、この『澡堂』だけは、何となく古くからある街の銭湯として位置づけられているように感じます。

私も一度、二度、人生の経験としてこの『澡堂』に近い温浴施設を体験したことがありますが、よく言われるようなタバコを吸っている人がいる、とか、アカスリ台が汚い、というようなレベルではなく、浴室内は真っ暗で、目視で確認できるレベルで浴槽内に垢が浮いていたり、とても我々日本人が知る温浴施設とは全く異なる世界観の施設です。

上海で私が体験した『澡堂』では、ボイラー設備がありましたが、ろ過設備はありませんでした

浴槽への補給もホースのようなものが蛇口に繋がっていて、電気ヒーターで温められているような感じでした。

日本のように次亜塩素などによる消毒も義務付けられていなければ、ろ過設備の設置も義務付けられていないからでしょうか。

しかし、こと消毒においては、私の経験上、何も『澡堂』に限ったことではなく、いくつかの施設でも日本では必ず行われる消毒は行われていない(もしくは機能していない)ように見受けられます。

レジオネラ菌による死亡事故、もしくは感染はごく稀に中国でも報道をされています。

ただ、その特定が難しいのか、報道されるのはある程度高級なホテルのプールであったり、有名な温浴施設であることがほとんどで、こうした『澡堂』などでレジオネラによる死亡事故例のニュースを見たことがありません。

その理由は間違いなく、集団的に数十人が感染したことだからで、このような『澡堂』で事故が起きていないとは、とても考えられません。

もう少し中国にもそうした温浴施設に対する危機管理対策の法的な縛りがあってくれると、業界人としては嬉しいのですが、人口あたりの体験者数によるものなのか、そうした対策を真摯に講じてくれるまでには時間がかかりそうです。

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