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2021-03-03
江蘇FCの騒動に思うこと。

蘇寧電器のグループが保有する江蘇FC(旧江蘇蘇寧)のサッカーチームで騒動が起きています。

サッカー観戦が好きな私もショッキングな事件として感じますが、これは経済的な事情が反映しているように感じます。

まず、蘇寧電器についてですが、古くから中国のトップを走ってきた家電販売店は、特に中国の急速な地代の流れに飲み込まれようとしています。

その理由の一つは都市部での地下高騰で、大型の店舗販売型事業は苦境に立たされているのは今に始まったことではありません。

我々の拠点でもある上海市の中心部では家電量販店はもとより、スーパーマーケットも維持が不可能と言えるほど、事業として壊滅的な状態です。

そしてもう一つの大きな理由はEC市場の発展にあるでしょう。

蘇寧グループはそのEC市場の開拓でも大きく後手を踏んでおり、タオバオだけではなく京東などにも水をあけられている状態が続いており、この騒動を端的に表していると言えるかもしれません。

しかし、腐っても鯛、果たして蘇寧グループほどの超大手企業が数十億円が支払えないほどに困窮しているとも思えないのです。

これは推測でしかありませんが、それには中国企業において、未だに経営陣の感情論で企業間の交渉などの重要事項の方向性が決定されてしまう体質にあるような気がしないでもありません。

というのも、私たちの事業でもそうした債権回収を請け負わせていただいておりますが、最も厄介なのはそこに契約書などの法的な常識が通用しない感情論が支配されているケースです。

またもう一つは経営陣の誰かを貶める社内的に意図された出来事の可能性も考えられます。

というのは、数十億円規模の損失を誰かの責任に押し付けること、実際にこのようにメディアに取り上げられてしまえば、その単純な損失以上にブランドイメージが傷つけられることは火を見るよりも明らかなのですから。

いくつかの中国大手企業のトップが後を追われているように、人為的な、陰謀のようなものを感じないでもない訳です。

蘇寧電器グループにそうした傾向があるのかどうかは知る由もありませんが、あまりにも負担が大きすぎて、こんなこととは思わなかった、というような打算的な経営が垣間見えるようにも思うのです。

日本人では思いもよりませんが、一部の経営者が力を持ちすぎてしまって、このような大手企業でもワンマン経営が存在しているのも、また中国リスクでもあると感じるところです。

それもこれも経済の急速的な発展が大きな原因となっていることは間違いがありません。

自転車が突如としてSUV車に取って代わった中国経済の中で、国際的な常識を推し量る経営者の素質に欠けたケースも少なくないと感じられ、そうした意味でも中国経済は未だ人材の過渡期と言えるかもしれません。