NEWS/TOPICS

2021-11-11
極楽湯碧雲温泉館へ行ってみた(2021年11月)。その3 ~周辺環境と収益~

□極楽湯のネーミングは中国人のセンスにもフィット?

引き続いて極楽湯碧雲温泉館の体験記ですが、今回はその周辺についてをピックアップします。

まずは、この碧雲温泉館というネーミングについてです。

中国ではタクシーに乗って行き先を告げる時に、だいたい「〇〇路と△△路」などと道の名称を運転手さんに伝えることが一般的です。

この「路」というのは道路のことを意味していて、中国ではほとんどの道路に「〇〇路」と伝えるとその場所がどの辺りかを理解することができます。

例えば極楽湯碧雲温泉館に行く場合は「新金桥路和金科路的极乐汤」(新金橋路と金科路の極楽湯)などと伝えます。

碧雲温泉館の近くにある欧米人がよく住んでいる街に「碧雲路」という場所があり、「新金橋路」を西に進んで2kmほどがこの「碧雲路」となるのです。

そのため、「碧雲温泉館」や「碧雲店」などと称することになっています。(そういえば今では温泉館とは呼ばなくなりました)

これは中国語の響きによるところも大きな要因で、「碧雲」というのは風光明媚なイメージを想像させます。

■LaLaPortが呼び込む相乗効果には疑念も、日本系施設の高評判

さて、その極楽湯碧雲温泉館の真向かいに満を持して登場したのが「ららぽーと金橋店」(LaLaport 啦啦宝都)です。

夜に撮影したので分かりにくいですが、極楽湯の門を出るとすぐに、真向かいの「ららぽーと」のロゴが見えます。

日本人の皆さんご存知の「ららぽーと」は2021年に開業、まさに極楽湯から交差点を渡ってすぐの場所にあります。

相乗効果といくかは分かりませんが、2013年の極楽湯開業当初は周囲に日本施設はおろか、ショッピングモールもないような大変な田舎だった立地でしたので、中国の経済発展の凄さを知られる一端でもあります。

「ららぽーと」はまた別枠でご紹介をしようと思いますが、入口前にはどでかいガンダムが飾ってあり、店内もユニクロやコメダ珈琲、ナムコのゲームセンターなどなど日系企業が多くテナントとして入っています。

いずれの日本企業の施設も勝る劣らずの人気を誇っており、このエリアは極楽湯が出店をすると同時に日本人にも受け入れやすく、中国人が日本をよく知ることのできるエリアへと成長しています。

そう考えれば多くの日本人が尻込みしてしまうような反日運動に代表されるようなチャイナリスクは、ほとんど存在しないと言っても良いのではないでしょうか。

ちなみに極楽湯が出店した1年足らずで恐ろしいほど日本料理店が増えました。

もっといえばこの時期は魚釣島問題に代表される、両国が少しピリピリしていた時期でもあります。

この辺りも中国ビジネスの強かさを垣間見ることができます。

□中国温浴施設の借地代と営業売上の考察

さて、この辺りの借地相場ですが、極楽湯碧雲温泉館の1万平方メートル(3,000坪)クラスの場合契約時期にもよりますが、恐らく1.5元~2.5元(22.5円~37.5円)/m2/日と予想されます。

すなわち延床面積を10,000m2で計算すると15,000元~25,000元(225,000円~375,000円)/日の借地代が必要になります。

月間で700万円~1,000万円、年間で7,000万円~1億円の運営コストなります。

※為替相場によるので、全て1元=15円で計算しています。

日本のスーパー銭湯では考えられないほど恐ろしく高価な借地代であることは明らかです。

もちろん日本のスーパー銭湯は面積が半分以下ですし、極楽湯は滞在型で、入場料も3倍以上なので客単価も比較になりません。

逆算で予算をはじき出そうとすれば、売上に対して家賃を20%のコスト比とすればおよそ3億5,000万円~5億円が最低ラインの売上となります。

コストの20%が借地代となれば収益としての儲けはかなり厳しいでしょうから、家賃を10%のコストに抑える想定となると、、、

7億円から10億円の売上が必要となります。

これらは是非ご関係者の皆様はご自身で計算されることをオススメしますが、実際に極楽湯の売上はこのクラスに到達していると思われます。(もしくは是非お問い合わせを)

いずれにしても、それらが現実的な数値となれば、日本のスーパー銭湯経営者の方々からすれば、とんでもなく魅力的な市場ではあるはずです。

ですが、昨年のようにコロナ禍で繁忙期である冬季の売上を大きく減らしてしまったのは、とてつもない影響になっていることと想定できます。

感染状況をかなり抑えられている中国であっても、もちろん今持って尚その経済的影響は存在しており、以前の記事にも書いたように売上向上、売上維持をし続けるだけの企業努力が不可欠です。

体験記からは少し逸脱してしまいましたが、現実的な収益や周辺環境はこうしたところから導かれますので、皆様に共有できればと思っております。

↓中国温浴コンサルティング、設備コンサルやサービス業のコンサルティングご依頼は是非こちらから↓