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2021-06-28
東北地方の魅力と温浴施設。

いくつかの地方都市に行かせていただいたことがありますが、中国の魅力は何といっても国土の広さです。

1年に何度も大雪が降る地方もあれば、夏には竈と形容されるような蒸し暑い地方もあり、人で溢れかえる都市もあれば、閑散とした地方もあります。

私は温浴業界に携わることで、中国の東北地方に行くことや接点が多いのですが、暑い地域より寒い方が個人的には好きだということもあり、東北地方は大好きな街です。

東北地方の良さは何といってもその人柄で、思いついたことをそのまま直接表現したり、豪快な決断を即決できる決断力もあり、よく言われる中国人特有のいい加減さが更に増したような特徴もありますが、友人や知人に対しては強烈な愛情を持って接することも特徴です。

そんな東北地方は温浴施設がとにかく多く存在します。

都市部の省都である瀋陽や吉林、ハルビンはもちろん、長春や大連、その他の地方都市でも、街を歩けば温浴施設に当たる、というのが私の感覚です。

一説では朝鮮半島からの文化とも言われますし、そもそも寒い季節に体を温めるという適合性からも温浴文化は広く浸透しています。

それから何といっても温浴施設のクオリティは日本人でも驚くほど高いのも東北地方での温浴施設の特徴です。

上海では一時期の日本式温浴ブームや給与水準の高さから、入館料が100元(約1,500円)を超えることは当たり前になっています。

一方でビジネスの側面として競争力の高い東北地方では30元~60元(約450円~900円)程度が一般的で、館内施設のラインナップは上海のそれとほとんど遜色なく、もちろん清潔感や良し悪しはあるものの、十分すぎる広さを持っていて、コストパフォーマンスも高いようです。

北方暖暖温泉も東北の瀋陽市に位置している。

ちなみにこの瀋陽市の北方暖暖温泉も日本人設計士が携わり、館内は上海の日本式温浴施設と同等のレベルで広さはそれを上回っていながら100元前後です。

商売柄館内を見学すると、建築コストがどのくらいだろうかと考えてしまうのですが、正直投資コストからすれば、もう少し強気の価格設定でもいいのではないかと思わせられます。

ただ、設計士の天内裕一郎社長や、施設の上長さんから聞くには、やはり消費能力(給与水準が高くない)がネックであること、それから実際には飲食やマッサージなどの利用で客単価は高くなるし、特に冬季は黙っていてもお客さんが寄ってくるような集客力の高さというのが東北地方の温浴施設経営の強みです。

以前にも長春市で30元の温浴施設を体験したことがありますが、そもそも30元で温浴施設の商売が成立するのか疑問ですが、飲食ブースもあれば麻雀ルーム、子供の遊び場や岩盤浴まで揃っている豪華ぶりでした。

冬季ということもあり中は人々でにぎわいを見せており、更には飲食をしながらお喋りをしたり、垢すりは施術待ちで隊列をなしていたりと、利用者が温浴施設に慣れており、自然と滞在型の仕組みが出来上がっていて、客単価がアップする環境でもあるようです。