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2020-07-21
日系企業は今後の中国市場でどう戦っていくのか。

仰々しいタイトルになってしまいましたが、某大手企業の私の知人が前から噂されていた通りに、このコロナ禍でそのまま日本へ帰任となってしまいました。

1、2月の騒動で日本に帰国され、そのまま日本に専任することになったと言えば聞こえはいいのですが、この会社の内情がそうでもないのです。

実は3、4年前ほどから中国人と日本人との間で商習慣の違いなどから軋轢が生まれており、中国側の上層部で日本人の締め出しを図っていました。

それは外部から見てもハッキリと分かるような流れで、日本本社の上層部も中国人の気持ちの良い言葉を重用しているようでした。

もちろん、それは日本人社員の努力不足の面もあるのでしょうが、社内営業の達者な中国人に丸め込まれてしまった印象も否めず、日本人が全くいない状況になってしまったのです。

私は第三者どころか完全な部外者なのですが、特にこの企業の場合、中国人が経営する良くないケースが大変目立つのです。

それは例えば、目先の利益をとにかく追求してしまうことが目に付きます。

違法行為スレスレのリストラや、品質が目に見えて落ちるほどのコストダウン。

厳しい管理体制と言えばそれまでですが、見境なくそれを行ってしまい、日本企業としての品質の高さまで失われている傾向が明らかでした。

こうしたコストダウンの整合性を確実にチェックしていたのが日本人駐在員の数名だったのですが、社内的な影響力を徐々に落としてしまっていたのが誤算とも言えます。

もちろん、状況によっては中国人側のやり方は有効で、私も実際駐在員時代は権力をフル活用して、とにかく物事をドンドン前に進める方法を取ってきました。

しかし、こうした強権が認められるのは、任される社員に経験がある、ということが絶対条件で、この企業では経験ある日本人が意見が通らず、社内営業が得意でも経験がない入社数年の中国人が、ごく個人的な判断で辣腕を振るうという歪な構造であることが問題かと思われていました。

結果的にことあるごとに反対意見を言ってくる高給取りの日本人を外したいという中国側の狙いが見事採用されてしまった形での帰任のように見えたので、残念無念な思いがぬぐい切れないのでした。

こうした現実の構造というのは、外からはもちろん、日本にいて把握できるほど簡単なものではないのです。

厳しいコロナ禍の時期でもあり、コストダウンはどの企業にも必須ではあるものの、企業理念に逆らったり品質に影響が出るようなものであってはならないはずです。

実際に今回のケースでも日本人駐在員の元に製品のクレームなどが多く届いているようで、この解決さえ十分に実施できていない、まさに野放し状態であるようなのです。

もちろん、海外事業所は海外事業所で日本とは異なるコンセプトとする、という選択肢もあってもいいとは思います。

しかし、根底にある企業の強みを忘れてしまうようでは、企業としての長期的な視点に欠陥があると言えます。

本社が好調だからいい、海外のコントロールは現地人だけに任せればいい、こうした単純な考え方だけではいずれ企業としての資質が問われる事態にもなりかねないでしょう。