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2020-07-11
日本の建築物の精度。

建築設計の営業委託をいただいたことで、発奮していることもありますが、今回もまた建築物について。

私は建築士ではないので、日本の建築技術と中国のそれに違いがあるかは分かりません。

とある知人は、上海の大きなビル群を見れば、中国が日本の建築技術を追い抜く、もしくは同等であることは明らかだ、と言います。

ある知人は、日本の建築技術は世界一位なのは明らかで、地震の多い日本での建造技術などは真似できない、とも言います。

私は建築現場に関連する仕事でいくつか経験がありますが、日本と中国でのレベルの差は分かりませんが、精度の差は良く分かります。

例えば、数年前にとある商業施設の中国人オーナーと日本の同業施設を見学に回ったことがあります。

中国人オーナーが訴えたのは、従業員のサービス態度と建築物の耐久性(消耗度)は日本と中国で比較しても意味がないので、それは見学の焦点から外してくれ、とのことでした。

日本でいくつかの訪問先を私がピックアップしたのですが、ここの店舗は敷地面積に対して従業員が何名、だとか、開業後10年経過しているけどメンテナンスを維持しながら現在でも真新しい状態である、といった見所は、中国で展開するにおいて参考にならないということでした。

ここでは建築物について拾い上げますが、要するに中国の建築物は10数年も経てば既に使い物にならない、とでも言いたげな話です。

彼のような資産何十億円の大社長であっても、その点については中国で実現ができないと考えているようでした。

が、私はそれはまた違うように思います。

冒頭にあるように、上海では大きなタワーが林立しているように、建築技術そのものは絶対的にあるはずなのです。

なのに一商業施設では日本に及ばないと考えてしまうのは、そのゼネコンの質によると思うのです。

もっと言えば、その担当者、指揮官に経験がない、といったように、安かろう悪かろうが横行している、とでも言うべきでしょうか。

設計を疎かにし、工期を急がせ、時には設計と施工が同時進行し、建物の具現化を急ぐケースは中国では目に余るほどあります。

日本のように一つずつ決められたことを決められた通にやればいい、というだけではないかもしれませんが、少なくとも着工から完工までが一つのレールであることの重要性に気づいていないケースが多いように思います。

お客様は神様です、を地で行く中国では、施主は当然のように急ぎます。

施主が急いでいればそれに合わせるのがゼネコンで、安価なゼネコンであればその急ピッチに合う技術を持ち合わせていないため、結果として思い描いていたものではない建造物であったり、細部が行き届かない施設になってしまったりという問題点が山積みになるのです。

日本の施工費は中国に比べ高価です。

これは単純に人件費の差ではなく、日本では10年20年の耐久性が必須であることから時間を掛け、ゆっくり練り直すことが求められるからです。

先述のブログにも書かせていただいたように、投資回収を急ぐ中国ではなかなか質の高い建造物を作り上げることが難しい、という裏返しでもあるのではないかと、個人的には痛感している現象なのです。