□新規ビザの取得後に帰国
先週ようやく日本に帰国することができました。
帰国が先延ばしになった最大の原因はビザの取得に関する部分でした。
今回私の個人的な事情になりますが、弊社の現地法人を設立したこともあり、一度既存ビザを抹消し、新たにその新会社による就労ビザの発給をお願いしたところでした。
その中での問題点は2つありました。
まずは、そもそも新規ビザ自体の承認が厳しかったことです。
以前は中国へ出張をしていた方々も隔離政策や新規ビザの発給が停止されていることで、現在多くの方が中国に行けない状態となっています。
こと、日本からの申請においては、受け入れ地区の政府招聘状などが必要となるなど、その申請は現地法人のあるなしに関わらずかなり困難を極めています。
そのため、中国にいる間に何としてもビザの新規取得などを済ませておく必要があると判断しました。
もちろん中国にいることで、このコロナ禍にあっても申請は有利に働くものですが(残りたいという意思を有しているため)、中国にいれば流石に追い返されることはないだろうという、少し甘い判断があったのかもしれません。
■新規ビザという点が引っ掛かるようで・・・
もう一つは弊社の現地法人がまだ設立されたばかりであることです。
今回のビザ申請時に特に出入国管理局がポイントとしていたことは、その納税能力でした。
これはかなりグレーなところだと思いますが、雇用契約書内の給与を上げるように指示されたり(所得税の上乗せ)、企業の納税証明書を添付するように言われたりと、かなりイレギュラーな資料の提出を(かなり直接的に)言われました。
提出可能な資料を提出しつつも、結局、新規事業の立ち上げ時に協力をいただいた行政の方などの助けをいただき、あの手この手で何とか局面を乗り切りました。
それから無犯罪証明書を再提出するようにも言われましたが、無犯罪証明書は日本に帰国しなければ取得することが困難です。
領事館でも発給は可能ですが、3ヶ月前後の時間を要するらしく、ビザを取り消した後に与えられる停留期間の30日では間に合いません。
ところが、取り消した後から日本に帰国していない場合、所謂ビザの切り替えに該当する場合では当該資料は必要なくなるそうで(かなり曖昧かつ微妙)、こうした交渉術はかなり大きなポイントでもありました。
□公安にて面接の実施
さらに面白かった?のは、出入国管理局の公安部にて面接が実施されたことでした。
あらゆる資料の提出が終わり、予定返却期限を過ぎようかというタイミングで、公安部から突然連絡がありました。
「面接を実施したい」と言われ、違和感こそありましたが、こちらとしても急いでいたので、すぐにでも行く旨を伝えて当日に飛び込みました。
そこで実際の会社の実態を確認されたり、人となりや状況を聞かれたのですが、こちらは中国語もできますし、既に10年以上の中国でのビジネス経験があることなど、とにかく危機感を持って積極的に説明をしました。
中国の公安部と聞くとかなり厳しいイメージがありますし、何となく偉そうだったり、怖いことをされてしまいそうですが、流石にそんなことはなく、実際には意外とこういうオカタイ部門の方こそ熱心に話を聞いてくれるものです。
結局この公安での一件は、一体何の確認だったのか分かりませんが、これらの様々な交渉を通して最も強調されたのが、「ビザの有効期限が1年以下に設定される可能性が高い」ということでした。
具体的に示されませんでしたが、3ヶ月もしくは半年程度の有効期限のビザになるのかと思っていたのですが、それから4営業日後に発給されたビザは何と1年の有効期限でした。
有効期限については結構言われていたので、半年くらいでも仕方がないかなあと思っていましたが、これは嬉しい誤算でした。
■ビザの取得でこんなにも手間取るとは
それにしても誤算だらけだったビザの取得で帰国が大幅に遅れてしまいました。
出入国管理局や人材センターなどはほとんど人がおらず、上海の日本領事館もそうですが、窓口に行ったりという手続きそのものはかなりスムーズではありました。
大前提としてビザを発行するのは中国政府であり、それに適した人材、私の場合は中国の経済発展に寄与できる人物である必要があります。
それを判断するのが納税額であったりというのは、当たり前の話でもあるのですが、新規進出企業のビザということが引っ掛かったのが実際のところです。
個人的には、目に見える形でも、企業として社会貢献をしていかなければ、と決意を新たにしたところです。
さて、全体を通して言えるのは、こうしたコロナ禍でビザの取得は基本的に困難であり、一方でそれを諦めた人が少なくないのも事実です。
それが日本の企業なのか中国経済にも与える影響は少なくないでしょう。
出入国管理局等が閑散としていた状況を目の当たりにし、何やら胸にモヤモヤとした思いも抱えながら、少しでも経済も含め、人流の自由さが確保されることを祈ってやみません。