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2022-03-09
改めて中国のゼロコロナ政策について自分の考えをまとめてみました。

※以前にも何度かブログにしていますが、あくまでも個人的な意見で中国政策を非難するものでは決してありません。

□そもそもゼロコロナ政策はなぜ生まれたか。

ゼロコロナ政策は、武漢での爆発的な感染が始まったころに打ち出されたものです。

当時、私も中国におりましたが、今よりさらに得体のしれないこのウィルスに戦々恐々としてことを覚えています。

当初感染拡大を半ば隠ぺいしようとした動きに、習近平国家主席がカツを入れたことで一変しました。

透明性を確保し、感染者の発見濃厚接触者の特定徹底的な隔離措置を実施し、こうしてゼロコロナ政策が生まれました。

未知なるウィルスを前に、右往左往する地方政府に対して、国のトップ自らが国民の安全を最優先に考えた措置は、国民から大きな評価を持って受け入れられました。

一歩間違えれば権力者による独断と決定のように映る光景ですが、中国では企業もしかり、こうしたトップによる断行は美化されやすい傾向にあります。

■ゼロコロナに対する中国での一般的な見解

こうした背景があって、現政権の誇らしい政策として誕生したゼロコロナ政策は、中国ではかなり美化されすぎている傾向も否定できません。

突然のロックダウンが始まったこの政策は、語弊があるかもしれませんが、春節間近という時期も相まって、未知なるウィルスを戦い抜いたドラマチック性も称賛されているような違和感がありました。

それから欧米諸国と政治的軋轢もあり、中国側の報道では感染を抑えきれていない諸外国の状況を揶揄するような言い方が多くされていたことも、気になりました。

実際に中国での感染者数については、この後ほとんど真実であるように、個人的にも感じています。(隠す必要がない)

ゼロコロナ政策は美化され、一定の結果を残し、諸外国はあまりに相対的な状況という、この政策を転換するにできない背景が出来上がってしまったのは、ゼロコロナを否定できなくなってしまった一つ大きな原因ではないでしょうか。

さて、多くの人々や企業が影響を受けているこのゼロコロナ政策のはずですが、一方で今ももし多数決を取ったとしても、この政策を継続することが中国の世論では望まれているように感じます。

ゼロコロナ政策によって影響を受けた人や企業の数と、そうではない人(影響の実感が少ない)の数では、後者の方が多いように感じられるからです。

実際には回りまわって全ての人が影響を受けているのですが、上述のような背景もあり、ミクロの経済観点では、やっぱりこの政策を維持すべきだ!という声が大きくなってしまうのかもしれません。

一方マクロ経済に目を向ければ、外国からの投資が少なくなるのは当然で、日本でも話題になったように留学生の受け入れや、ビジネス上の往来が激減することで、間接的にミクロ経済にも影響を与えているのですが、それを感じる機会は中国ではあまりないのかもしれません。

実際に弊社も昨年、現地駐在事務所の設立を行うことができましたが、以前のブログにも記載した通り、外資系の企業の取り込みに必死であったことは間違いありません。

中国現地法人の設立。 – JNG (jng-chenqin.com)

□知り合いのZ社長が放った痛烈な言葉。

そんな一般大衆的にもゼロコロナ政策が支持されているように感じる中国ですが、もちろん日中を往復したい私たちからすれば、この世論は困る内容です。

しかし、とある不動産業を営む女性老板のZ社長からはこんなことを言われました。

「これからしばらく中国、中国人は大きな国土を利用して、内需に対する自給の力をつけ、自給自足に似たスタイルの確立をすべきだと思う。あなたみたいに、日本と中国を行き来している人は乗り遅れるわよ」と。

いろいろな話の中での彼女の言い方だったのですが、さすがにこのまま半鎖国状態を続けて経済が一体どうなるかは微妙です。

一方で、中国の中にはゼロコロナの末に、自分たちの力のみで(暫定的であっても)生き抜く術はある、という考えに至ること自体が、末恐ろしいことだな、と感じました。

■問題は中国がどう、ではなく、我々自身がどうすべきか。

これは私自身が心掛けていることでもあるのですが、他国を批判や非難することには意味がありません。

私たちができることは、それとどう付き合うのか、同時にどのように自国を良くするのかということだけです。

我々は決して中国の肩を持つわけでもなければ、批判するつもりもありません。

ただ、私たちの考え方は変わりません。

日中ビジネスの架け橋として我々が存在していることに変わりはなく、そして自分自身の身の置き方も考えさせられるようなZ社長のお言葉です。

江戸時代の鎖国が失敗だったと身をもって分かっている日本人からすると、今回のゼロコロナ政策はまさにその失敗例に近いようなものに感じられてしまうかもしれません。

しかし、時代が違えば考え方も違う、それぞれの状況も違います。

結局のところ、やはりそれとどう付き合うのか、我々自身がどう取り組んでいくのか、というただ一点なのではないでしょうか。

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