つい先日、中国で交わす契約書において、少し変わった注文が付きました。
それはとある製品の引渡しにおける支払い条件で、引き渡し後6か月に分割して4%ずつ支払うというものでした。
こちらもリスクを背負うので、そちらもリスクを背負ってくれ、というのです。
こちらからしたら、なぜ御社の事業のリスク負担を我々が?と思うのですが、こうしたことは確かに経験がない訳ではありません。
実際に資金繰りがマズいという明確なサインでもあるのですが、新規事業を行うにあたってこうしたシーンは確かになくはないのです。
ただ、今回その条件についての話し合いで、リスクについての注文があったことは確かに驚くような部分です。
こうした一風変わった交渉術というのが中国ではよくありますが、この時期ですから逆にこちらとしては、開業に差し当たって少なくとも御社にリスクが伴うということですよね?とハッキリ分かってしまうような言いぶり。
普通の日系企業なら断ってしまうケースもあるでしょうが、我々側も慎重に契約書の文言で主導権を握りながら、結局のどから手が出るほどの契約書を締結しました。
条件は、開業日から6か月までの毎月、という文言ではなく、〇月△日から6か月間の毎月、という契約書内の文言を死守したのはファインプレーです。
私の常套手段ですが、日付を書くことで、開業日という曖昧な表現がなくなり、万が一、万が一争いごとになったとしても期日に支払わなかった理由は製品の不備がない以上は、可能性がない状況にするということです。
今回のコロナ禍の状況において、厳しい条件を飲まなければ契約ができない、というケースが少なくないかと思います。
契約ができないより契約ができたほうが企業としてメリットがあるはずですが、それよりも大切なのは曖昧な条件で契約を結ばないこと。
特に今後こうした駆け引きは重要になるのではないでしょうか。