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2020-12-08
弱肉強食、投資への恐ろしい発想力。

あまりこういうネタはどうかと思いますが、ビジネスに通ずるところがあったのでピックアップします。

私と同世代、所謂80后(80年代)世代の中国人です。

Y社長という技術者の彼とはかれこれ7,8年のお付き合いになりますが、5年ほど前に独立。

しかし、企業にとって大事な経理の計算、知識そのものが恐ろしいほど希薄。

今では数名の技術者を雇いますが、営業マンはいません。

コロナ禍でかなり厳しいこともありますが、今回借り入れを行うことに。

信用度が足りず、金利はなんと4.7%、借り入れ金額は30万元で3年間での返済が求められています。

売上高は500万元ほどある企業ですが、従業員さんが3名にY社長の4人では、やや人員過多、経営はかなり厳しい状況です。

売上高500万元に対して30万元の借り入れで状況が好転するとも思えず、まして金利が4.7%では、もっと良い金利条件があったのではないかと察します。

それでも、経営手法はかなり前向き、同じ80年代としてその気迫は一目置きますが、危険な橋を堂々と渡る姿はこちらから見ていても冷や汗ものです。

このように80年代にして独立をする人は中国では少なくありませんが、それでもその知識レベル、経営の経験値は日本のそれと比べ低いように感じます。

スペシャリスト(技術の専門家)でこそあれ、ゼネラリスト、ポリバレント(多様性)として経営の知識がないのは起業するには危険だと思わされるのですが、実際にこの傾向は中国では非常に多いというのが個人的な感想です。

中小企業、零細企業の中国人社長にはいくつも知り合いがいますが、彼らに一定して言えるのは税金についての知識はかなり薄いことです。

逆に日本人の経営者のほうが中国の税制の実務について詳しいと思わされる例が圧倒的に多いです。

もう一例はとある上海市内のKTVの経営者W社長、いわゆるキャバクラです。

経営者、というと堅苦しいような気もしますが、パッと見た感じは可愛らしい女性です。

しかし、見た目とは裏腹になかなかのヤリ手で、80后ではありますが、小さなスナック式のバーが2つ、それから8室ほどのスペースのあるKTVの経営者です。

それぞれそこそこの中心地ですので、家賃もそうですが、スタッフの数も相当抱えています。

同年代としてこれほどまでの経営をする手腕、資金には驚きですが、これがまた変な話で、経営的な話は恐ろしいほど全く疎いのです。

基本的な家賃についてもウヤムヤで、税金についても分からなーい、と一笑、こう言っては何ですが計算ができていません。

こうしたお店の経営は確かに売上を伸ばしてナンボ、粗利率もいいでしょうから、とにかくお客さんを呼び込むことに集中すれば経営は成り立つのかもしれませんが、それでも自分の人生を賭してやるには、随分軽率な知識レベルです。

コロナの影響で人の出入りが少なくなった、このご時世ですから、他人事ではありますが、彼らの知識レベルや、その考え方が心配になるほどです。

ただ、このY社長、W社長ともに傍から見ると、正直それぞれ難局を乗り切れるようには思えないのですが、それでも彼らは全くひるむことがありません。

中国経済は過渡期だ、バブル崩壊間近だ、などと言われますが、それでも中小企業は勢いで乗り切り続けています。

こういうのは何ですが、この二人を見ていると、もしかしたら日本人の経営者は考えすぎの頭でっかちになっていないかな、とさえ思わされます。

日本のバブル期のように、バブルが崩壊すると一気にこうした経営者が淘汰される可能性もなくはないですが、経営の知識レベルはさておき、難局を乗り切る貪欲さ、タフさは学ぶべきかもしれません。