ヤフーニュースのトップでロイター通信の記事が上がっていました。
私にとっても大きな関心のあるニュースです。
今回はこのトップ記事に対して、私の得意な超ミクロ経済の視点からざっくりと記事にしたいと思います。
実はこの恒大集団、以前の仕事で関わりを持ったことがあります。
すごいことだと思われるかも知れませんが、恐らく中国で数年も仕事をしていれば、恒大集団だけではありませんが、中国の不動産超大手企業と何らかの形で接触することは少なくありません。
関わりを持ったと言いましたが、彼らからしたら膨大な社員の膨大な問い合わせの一つに過ぎません。
恒大集団を筆頭とする大手企業の多くは、不動産による収益を利用して投資事業を展開しています。
投資の方法は様々ですが、一見全く関係がないような投資も、紐をたどれば不動産の利権が絡むことが多い投資開発が多いので、私のような一端の温浴関係者にもたどり着いてしまうことがあるのでしょう。
あくまで私のミクロの世界での話で、私の個人的な意見ですが、中国でこうした大手企業や国営企業の問い合わせは、あまり色めきだってしまうような出来事ではありません。
日本でトヨタ自動車やソフトバンクから一緒に仕事をしましょうと言われれば、小躍りするところですが、中国の大手企業が絡むようなプロジェクトはそれとは全く価値観の違うものです。
以前にも書いたことがありますが、決済者がいない相手とでは契約までの道のりがあまりにも険しい場合が多く、また、支払いの決済も遅い場合が多い印象です。
最終的な支払いをしないというリスクこそ少ないかも知れませんが、支払いが送れることで、自社の資金繰りに大きく影響を与えるようなケースも少なくないはずです。
もちろん大手や中小企業によって仕事の質を変えることはありませんし、大手企業との取引は実績としては魅力のあるものです。
さて、中国の不動産バブルですが、今回再び中国に渡って実感するのは、まだまだ不動産バブル、いや穏やかなバブルは続いている印象が強いです。
2000年から徐々に高騰した地価は2010年頃には最大の盛り上がりを見せました。
2010年代後半には若干落ち着いてきた印象こそありますが、日本と比べればゆっくりと安定して上昇が続いている状況で、それは今を持ってなお同じ状況です。
地方によって上昇率こそ異なりますが、ほとんどの地価が年間で数%ずつ、常に上がり続けている印象です。
コロナ禍の抑え込みに成功している状況もあり、現在を持ってなお状況は大きく変わりそうにありません。
恒大集団は、サッカーチームを保持していますが、実はこのサッカーチームも以前は国内リーグで何連覇も達成するような自他ともに認める最強のチームでした。
しかし、ここ数年は最大のウリだった世界トップクラスの外国人選手の補強も鳴りを潜めています。
こういうところからも、今回のニュースの信憑性も伺い知れるところです。
さて、恒大集団が今後どうなるかは中国で生業を立てている者にとっては重大事項ではありますが、世界が違いすぎるので理解しにくい部分です。
しかし、今後不動産バブルに大きな転換期が訪れるとすれば、それは大きな影響が出てくることです。
中国では一体どこから資金が湧き出てくるのか分からないような、小金持ちの社長(小金持ちと言っても、数億円規模の投資ができるような人)がたくさんいます。
これも私の私見ばかりで申し訳ないのですが、その多くが不動産事業を基に資金を取得しています。
そして最も怖いのが、私の周囲の中国のごくごく一般的な人々の多くは不動産バブルが終わることを全く現実のものとして捉えていません。
以前私と同年代の中国の知人と話していたときですが、彼は中国の銀行が破綻することなど絶対にあり得ない、と断言していました。
頭のキレる知人ですが、その発言には全く根拠がないのです。
何が言いたいかというと、今の中国では経済的な逆境を全く想定していないという点です。
それもそのはず、例えば私と同年代の80年代生まれのビジネスマンは、人生の半分が高度経済成長時代であるからです。
団塊世代の私の父親も同じような経済状況の軌跡を辿っていたかも知れませんが、中国の成長期はそれらを圧倒的に上回るインパクトのあるものです。
所謂リスクヘッジという言葉からは無縁のまま育ってきた人達なのですから、どれだけ論理的に経済バブルの崩壊を伝えたことで実感として感じられないこともまた当然かも知れません。
もちろん、中国は世界でも類を見ない成長の仕方をしただけあって、今後日本と同じようなバブル崩壊を迎えるかどうかは誰にも分からないところではあります。
私自身も急激なバブル崩壊こそないと思っていますが、それでも今までのように目をつむっても成功し続けていた事業投資、不動産投資には何らかの影響を与えてくることは、これもまた間違いないような気がしないでもない訳です。