NEWS/TOPICS

2021-06-14
実施設計、施工図と施工。

日本の建築物は設計図に非常に忠実すぎるほど忠実であり、それが当たり前の世界で生きていると中国の現場がどれだけいい加減なものかが分かります。

人によってはこのいい加減さが我慢できないと、逆にストレスを溜めてしまうほどです。

そもそも日本の設計会社が中国に進出して最も苦労するのは、一部の中国デベロッパーや設計発注主であるクライアントは設計図を紙と捉えている節があり、設計図はあくまで仮想の空間、建築物としか捉えいないケースさえあり、建築物を作るための方針でしかない、そんな考え方さえあります。

超大型プロジェクトはまだしも、数万平米程度のレベルではゼネコンが存在せず、クライアント側が現場サイドに直接指示をするなんていうことも多く見聞きするシーンです。

私自身も設備導入に関するメンバーとして現場に入った際に、施工者からフローシート、原理図面をくれと催促されたことが何度かあります。

実施設計や施工図ではないのかと聞きなおしても、相手の要求はあくまでその前の方案段階の図面なのです。

事情を紐解いてみると、施工図を見ても複雑すぎて施工ができないため、フローシートの原理を理解してオリジナルで施工を進めた方が早いというのです。

これには何とも常識を覆される事件ではあったのですが、こうした現場は中国では往々にしてあること。

結果的に出来上がった現実の成果物は、設備導入する立場では、自社製品が稼働できて、尚且つ重大な欠陥を生じるケースではないため、クレームを出しても仕方がないと開き直ってしまうこともあります。

ゼネコンがいない現場で、設計や施工の専門家ではないクライアントがその不一致に気が付けることは困難です。

結果的に損をするのはクライアント側となりますが、冒頭のように設計図を作品ではなく紙として見ている人からすれば、設計図と実際の施工が必ずしも合致していなくてもいい、なんて考えているのかもしれません。

これは中国における施工と設計のもどかしい中国での実情です。