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2020-10-30
大塚家具の中国進出失敗。

大塚家具の大塚久美子氏が今回取締役と社長の座から退任されることとなりました。

これは日本だけではなく中国でも経済ニュースとして取り上げられています。

お家騒動にばかりフォーカスされる日中のメディアですが、久美子氏がテーマとして掲げていた二つのことにフォーカスしてみたいと思います。

まず一つ目はカジュアル路線への展開についてです。

高級家具として有名だった大塚家具からの求めやすい価格のカジュアル路線をテーマとしてうたった久美子氏でしたが、私はこの路線変更は決して間違いではないような気がします。

衣食住に関わる業界は比較的安定的だと言われますが、それでも高価格帯と低価格帯、それぞれのコンセプトによって争いも厳しい業界です。

衣類ではユニクロに代表されるように安価で品質の良い大量生産型の企業が台頭し、家具業界でも同じようにニトリが頭一つ二つ抜きんでています。

つい先日私も家具店に訪れる機会があったのですが、組付けを自分で行ったり、当然品質も違うとはいえ、同じ食器棚が5倍も10倍も異なるニトリと大塚家具では私のような一般庶民では悩む余地さえありません。

20代、30代は結婚や就職、マイホームの購入を契機に新生活を迎えることが多いと思いますが、そんな節目のタイミングで家具を揃える際に、100万円の食器棚を購入したり、50万円のソファーを買う余地があるでしょうか。

20代ではこれからの生活を維持することだけでも、30代ではこれから育児やマイホーム購入で手一杯のはずです。

一つのアイテムで10万円、20万円での家具、家電で精いっぱいというのが実情で、とても100万円のタンスを購入する余裕はないはずです。

90%以上の30代がニトリやインターネットで家具を取り揃え、残りの10%にも熾烈な業界の競争があれば90%向けの商品を展開しようと思うのは当然のようにも思います。

もちろん、この当然の策しか打ち出せなかったことに問題はあるかもしれませんが、方向性が批判されるようなことでもないと思います。

そしてもう一つが「中国進出」についてです。

お家騒動が冷めやらぬ中、ヤマダ電機のグループ傘下に収まる前に、久美子氏は中国展開をうたっています。

しかし、未だ中国での知名度は全くないどころか、日本でのFacebookにあたる微博のフォロワー数も異様なほど少ないのです。

サービス業、販売業、百貨店、店舗を構えるような業種ではこの微博をどう利用するかが、販促の大きなポイントであり、そのフォロワー数は知名度や人気を裏付けています。

例えば中国各地で大きく展開をするスウェーデンのイケアはフォロワー数なんと170万を越えます。

中国地場の红星美凯龙は50万、中国で控えめな展開のイメージがあるニトリでさえ3万人を越えるフォロワー数を誇ります。

今年中国上海に出店をしたLOFTが1.2万人、既に中国で多店舗展開するイオンが13万人、2013年に温浴施設をオープンさせた極楽湯が1.7万人、上海で成功とはいえないものの知名度のある高島屋が1.2万人。

この中で大塚家具のフォロワーはたった220人です。

この数値は中国への進出や拡販を打ち出している以上、明らかに違和感のある数値で、店舗展開も中国では一切されていないようです。

さすがに日本でこれだけ有名な家具販売店がネット販売だけで、中国進出をうたうのは違和感もあり、この点は表面的には分からない何か闇を感じる部分でもあります。

いずれにしても、この中国進出は明らかにならない部分が多すぎ、中国語でのホームページもどこかの偽物がつくったかのようなデキなので、これでは中国進出とも言えないような有様です。

こうした取締役の辞任や退任というのは、おおよそほとんどの場合、何か闇に隠される部分があったり、誰かが悔しい思いをしていることが多く、今回の騒動も何か表面的な情報だけでは納得できないこともたくさんあるようです。