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2021-02-04
台湾が中国を超える?

経済成長率で台湾が中国越えを果たしました。

正確に言うのであれば台湾単独の成長率が中国本土の成長率よりも高かったというような表現になるのでしょうか。

実はこの辺りの話題というのは非常にナーバスな面もあるのですが、あの小さな面積しかない台湾で何が起きているのでしょうか。

ミクロな範囲ではありますが、私の周囲には中国本土で知り合った台湾出身者が多くいます。

彼らのほとんどが口を揃えて言っていたのが、台湾は小さすぎて経済成長は頭打ちだということです。

実際に中国本土へと出稼ぎに来ている台湾出身者は非常に多いこともあり、それに比例して台湾人の知り合いも多いと言えましたが、近年では民主化運動の煽りもあり、反中国の企業は安定を求めて台湾に戻ったり、東南アジアに目先を向ける動きも活発化しているようです。

2,300万人程度の人口を有する台湾本土のうち海外を拠点とする労働者は70万人を超え、実に人口当たり3%程度の台湾人が海外で生計を立てています。

比率でいえば、日本のおよそ3倍の人々が仕事のために海外へ渡っている訳で、現実としてその国土や人口で見れば経済発展が困難であるとの見方も少なくない訳です。

しかし、近年は先述の通り中国ではなく東南アジアに目を向けたり、半導体やITの発展も著しく、台湾企業自身の成長も目覚ましい実績が、成長率の引き上げという数字に現れていると言えそうです。

台湾の立地として優れているのは、何と言っても中国本土が近いことは確かで、以前はそれを利用して発展を遂げた台湾出身者も少なくなかった訳ですが、今ではそれが逆輸入されたり、中国本土で流行、または発展を遂げた企業の成長モデルを台湾で活用しているシーンも多くあるようです。

一方で複雑なのは今までもこれからも中国本土で生計を立てていた私の知人のような人々ですが、彼らの中にも台湾本土に戻るという決意をしている経営者も少なくありません。

今回のコロナ禍での台湾の検疫態勢は見事でしたが、それによって影響を受けてしまったのは日本人の海外駐在者と似たようなもので、今後続きそうな往来の煩雑さが台湾のビジネスマンの心理に少なくない影響を与えているのも、また事実かもしれません。