NEWS/TOPICS

2020-08-17
値段は高いがいい味です、は通用しない。

過去にとある展覧会へ参加したときのことです。

中国での成功企業で驚くのは、とにかく人を引き付けるキャッチコピーがあるということ。

まるでこの製品を使えば自分が生まれ変わるような、この点ではどう頑張っても日本人ではなかなか太刀打ちできないのですが、とにかくもうトキメイテしまうような、ドキドキするようなキャッチコピーを掲げるのが上手な中国企業。

それに対抗すべく、中国市場での広告宣伝費を多く投入していった訳ですが、やはり欲しいのは中国人が喉から手が出るようなキャッチコピー。

そこでの会議のこと、いくつかの案を従業員さんなどから集めたのですが、私が発表したのは、あの有名なキャッチコピーである【値段は高いがいい味です】作戦。

全く同じキャッチコピーにする訳にはいきませんが、まずマイナス要素を放り込むことで、自分たちが負けない要素をより一層際立たせる効果があるキャッチコピーです。

このキャッチコピーに当時の多くの日本人は驚き、そしてメンツを掻き立てられ、どうしてもそのいい味を体験したいと思わせられた、極上のキャッチコピーでした。

しかし、恥ずかしながらこの逆説的キャッチコピーは中国人の従業員さんたちに全くウケず、採用してもらえませんでした。

よくよく考えても確かに、こうした逆説的キャッチコピーは中国にはほとんど存在しません。

それに口コミサイトを見ても、日本では星が4つに近いだけでも超優良店というところですが、中国では4.7とか4.8とか、限りなくあり得ないような評価が多く存在しているのです。

これにはこの話とは別に中国での広告宣伝の闇が見え隠れするのですが、良いのか悪いのかがハッキリしているというところもあるのでしょうか、悪いところを自ら発表することは有り得ないことでもあるようです。

最初の印象は絶対的な性悪説で物事をとらえる中国人なのですが、この点は私は未だに良く理解できない部分でもあります。

さて、いずれにしてもこうしたキャッチコピー、簡単なようで難しく、だからこそ絶対的な効果を持っていると言えますが、ターゲットの心に響くものという点は日本と同じですが、日本人の感覚だけではなかなか成立しないものなのです。