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2021-12-12
何を売りたいかではなく、何が売れるか。

□中国市場での営業代行の展開について

弊社は中国市場における営業代行を行っていますが、コロナ禍という世界への大きな影響が出ていることで、弊社に対するお問い合わせの質も少し変わりました。

それは、この商品を中国で売ってもらえないか?この商品は中国で売れないか?といった、単発、単品の販促代行のお問い合わせです。

法人化をして間もない弊社ですが、どんなことでもまずは前向きに事業として捉えていくスタンスは変えるつもりはありません。

お問い合わせをいただけることは、弊社にとって何よりも大切なことです。

ですから、そうしたお問い合わせに対しては、どんな商品であろうと、まずは市場に向き合って、その商品が売れるかどうかの可能性を探す作業に入ります。

しかしながら、中国市場で製品を販売するには、中国市場における最大のバイヤーである中国人を理解しなければいけません。

日本人の私一人で判断することには限界がありますので、中国人社員や周囲の知人などに相談することもあります。

そうして身近な存在の人に相談をすると、だいたいは「へえ、いいじゃないですか」、「これは売れるかもしれませんね、中国人は好きですよ」などと答えてくれます。

しかし、会社で在庫を持って販売することに可能性を感じるか?とか、あなたが購入して販売展開してくれないか?と聞くと

「いやあ、そこまでは。。。」と途端に答えに窮するのです。

せっかくお問い合わせをいただいたのですから、弊社としても何とか実績に結びつけたい、そう考えるのは至極当然の流れです。

実際に、周囲へのヒアリング、もっと踏み込んだ市場調査、バイヤーとの商談は、時間を掛けて行う必要があり、可能性を探るだけの段階であっても、ある意味では投資です。

今日は、そんな状況で私が度々訪問をして勉強をさせていただく、とある人生の先輩に関してのお話です。

■売る、のではなく、売れる!

弊社の中国での取引企業様のなかに、個人的にも深くお付き合いをさせていただいている大先輩がいます。

上海で10年以上も商社として活躍をしている敏腕社長と勝手に思っていますが、私は決まって彼女に相談を持ちかけます。

しかし、毎回言われてしまうのは、

「あなたがどれだけ売りたいか、は、大事じゃなくて、売れるものは勝手に売れるんだから、市場に敏感になりなさい」

ということです。

若輩者の私や弊社に対しては、あまりにもドライに聞こえてしまうお言葉です(笑)

余談ではありますが、彼女は毎回私を褒めちぎってくれるので、落ち込んだときにお会いしたり、新たな発想が欲しいときに自分勝手に会いに行くのです。

彼女も私も中国語はペラペラで、どっぷりと中国市場に入り込んでいます。

彼女は私に、(言語面や経験値から)市場に敏感になれるだけの素質がある、と見込んでくれているのだと(勝手に)思っています。

売って欲しいに対応するのはいいことだけれど、売れるものと売りたいものが必ずしも合致するわけではないということを彼女は言いたいようです。

彼女は過去に何度となく、人々が見えない場所から大ヒット商品を次々中国市場に送り出す敏腕営業マンなのですから、私としては先輩の言うことを黙ってメモして聞くしかないのです。

しかし、必ず最後に一言付け加えてくれます。

売れる商品にたどり着くには、数あるチャンスは何度でもアタックすることも大事なので、日本からの問い合わせ一つ一つに丁寧に答えようとする私の姿勢が間違ってはない、ということです。

たとえ大成功を収められなかった仕事であっても、ただただ嬉しい一言です。

経験もないのに頭ごなしにダメだとか、売れるだとか判断するのではなく、慎重かつ正確に歩みを進めることが大事だと自分自身にも言い聞かせています。

□売れるように仕掛けるには投資が必要。

「売るのではなく売れる商品を売ること」、「市場に敏感になること」、これらは当たり前すぎるお言葉でもあるのですが、足元を見つめ直すことができるお言葉です。

もちろん彼女はそんなドライな面だけで市場で戦っている訳ではありません。

販促活動を通して売れる商品も当然ある、というのが彼女の意見です。

しかし、特に日本企業の生半可な販促活動では全然ダメ、とも頻繁に仰られます。

それは、100万元を売るために50万元の販促をするのが中国、という考え方です。

思わず、それではどこに利益が出るのですか、と尋ねたくなります。。。

彼女が言うのは、日本人や日本企業が頭でっかちに計画立てて、100万元の売上目標だから10万元を販促に当てようという考え方は誤りだというのです。

100万元の売上目標に50万元の販促をかければ、私にかかれば1,000万元売れるというのが彼女の主張です。

言い換えれば、むしろ1,000万元売れない商品は100万元も売れない、とも言います。

強気なお言葉ですが、ほとんど彼女の全ての言葉は、中国で10年近く生活してきた私の胸にすっと理解できてしまうのが憎らしいところです。

確かに中国市場で一大ムーブメントを作り上げるには、彼女の考え方は至極正しそうで、コロナ禍なんてなんのそのといった感じで、実際にそれらを証明するような勢いで成長を続けられています。

ちなみに訪問をさせていただく度に出していただくコーヒーが美味しいと言うと、

「当たり前じゃない、これ私が輸入して日本と中国で販売しているコーヒー豆で作ってるのよ、気に入ったのなら買っていく?」

最後の最後まで、彼女の営業力には感服させられます。