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2021-11-08
中国語と温浴施設。

中国語ができる温浴コンサルというのは、間違いなく日本で私だけだと思います。

えー、これはなにも自慢をしたいのではなくて、今日はちょっと時間がありましてせっかくなので中国語&温浴施設を掛け合わせて、中国の温浴施設用語を語っていきたいと思います。

まず前置きですが、なぜこんなことになったかというと、先日お風呂用語の「湯」は中国語でスープの意味だと紹介したところ、意外なほど反響がありまして、そう考えると結構面白いなと思ってザクッと書いていこうと考えた次第です。

そうなんです、中国語での湯、「汤Tang」はスープの意味です。

「酸辣汤Suan La Tang」とか火鍋の「菌汤Jun Tang」「白汤Bai Tang」それから日本でも少し人気のある「麻辣烫malatang」に代表されるようなスープの意味です。

今では日本から中国に進出したスーパー銭湯のお陰で、一部では「汤Tang」が「お風呂の湯」として認識されるようになってきました。

お風呂という「風呂」もそうです。

中国語の「风吕」は日本式スーパー銭湯を体験したことのない人からしたら全く意味のわからない言葉です

「风」はそのまま風を意味しますが、「吕」は人名とかで使われるくらいで単独で用いられることがほとんどない漢字です。

日本語の「お風呂」は「泡池」「浴池」「浴室」「洗澡」などなどその用法によって様々な言い方ができます。

ちなみにこうした日本からの外来中国語もたくさん存在します。

例えば日本語の「写真」、これは中国語を直訳すると「真実を書く」となります。

しかしいつ頃からか日本から中国への漢字逆輸入で、「写真」がそのまま写真の意味でも通じるようになりました。(最近は聞かないかなあ)

ちなみに中国語の写真は「照片」となり、写真を撮るの場合は、「拍照片」と表現をします。

恐らく、ですが、「写真」という言葉が中国で伝わるようになったのは、日本のカメラの品質が中国でも大いに認められたからではないかと思います。

そういう意味では今ではスマートフォンを片手に写真撮影ができるようになってしまいましたし、そもそもデジタルカメラが使われなくなってきたことで「写真」という言葉もほとんど使われないようになった気もします。

日本のスーパー銭湯ではありふれたジェット風呂は「按摩浴」と呼ばれることがあります。

これらも実は日本のスーパー銭湯やそれに関するメーカー等がネーミングをしています。

シルク風呂は「绢丝浴」とか「牛奶浴」

日替わり風呂は「日换浴」「日替浴」

電気風呂は「电气风吕」「电浴」とか。

露天風呂は「露天风吕」と言えば業界の人々なら理解してもらえるようになってきました。

ただ、あれやこれやと日本式の温浴施設の模倣店や設備の模倣品等が出てきてからは、それぞれが聞こえの良い言葉に言い換えをし始めてきたこともあり、言い方は単一的ではなくなってきました

「温泉」はそのまま伝わります。

ただ、「温泉」を謳っている施設が、実際に天然温泉を使用しているのか、普通の井戸水なのか水道水なのかはハッキリしません。

スーパー銭湯でも「温泉館」などと名乗っているケースも、中国では数多見受けられます。

結局こうした言葉の逆輸入はなぜ起こるのか、というと、その中国語の響きによるところが大きいのではないかと思います。

「豚骨Tun Gu」も中国でそのまま使われることがありますが、そもそも中国での「とんこつ」は「豚骨」ではなく「猪骨」です。

中国語の「豚」は日本語のイノシシである「猪」です。

イノシシはどう表現するのかと言うと「野猪Ye Zhu」です。

そもそもの感覚が圧倒的に違いますが、良く耳にする「猪肉」はなにもイノシシのお肉ではなく、豚肉です。

だんだんお風呂から遠ざかっていきましたが「丼Jing」という言葉も中国語ではほとんど使われません。

井戸水のことを「井水Jing Shui」と読みますが、「井」も「丼」も同じJingと読むそうです。

ただ、吉野家やすき家などの台頭によってこれらの「丼」がDongと発音されるようになっています。

これは大変奇妙なことで、中国語辞典などで調べるとJingしか出てこないからです。

あきらかに「ぎゅうどん」の「どん」と「Dong」が派生したように感じますが、これを説明するものはネット上で見つかりませんでした。

最後に、特に近年は日本語の「の」をそのまま理解する中国人が増えてきています。

というか、上海の若年層(20~40代くらい)の人たちはほとんど理解しています。

由来は分かりませんが、実際に中国語でも「の」に値する「的」という表現は日常会話でもたくさん用いられます。

決して日本人向けではない日本料理屋さんや、日本式を謳う商品や業界の宣伝広告などで中国語の「的」の代わりに、あえてそのまま日本語で「の」を用いても違和感なく伝わってしまいます。

これもなんだか日本式をイメージさせる戦略かもしれませんが、それでも日本語が使われることに何だか嬉しさもあるものです。

こうして考えると日本に魅力のある食べ物であれ入浴習慣であれ、中国語の漢字にそのままダイレクトに反映されることは日本人としても誇らしいことだと感じるものなのです。

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