中国の温浴施設とひとくくりに言っても、ハルビンなどの黒竜江省や吉林省、長春市などの東北地方と上海などの華東地区、陕西省、山西省の内陸部などでその閑散期には大きな差があります。
中国は広いので、気候に大きな差があるのは当たり前で、その気候が中国の温浴施設にとっては閑散期と繁忙期を決定的に分けるのです。
普遍的な傾向として言えるのは、中国ではやはり寒い時期こそお風呂に入る、という意識です。
そして、この繁忙期と閑散期の上昇と下落幅は日本の温浴施設では考えられない差異を生むのです。
上海市の某温浴施設、一番多い入客数は1,2月あたり。
春節の絡みで今年は1月末から2月初旬が最も大きなピークとなりました。
一方の夏場6月、7月は閑散期になりやすく、入場料の安売りをして集客を狙います。
この夏場と冬場の利用者数の差異は、何と3~5倍となります。
利用者数が多いと、館内の利用率が減少するため、繁忙期はどうしても客単価こそ落ちますが、やはり3倍以上になる入客者数の差異はあまりにも大きく、上手に運営をしている温浴施設でも閑散期の夏場の収益は、いいとこトントンです。
弊社がコンサル業務を行っている施設でも、この改善を何とか試みようとしましたが、現場のモチベーションを含めても、何とか乗り切ろう、コストを削減しよう、という意識がどうしても強く働いてしまいます。
一方で日本の閑散期と繁忙期には中国ほど大きな差がなく、いたって平坦な1年間の推移になりがちですが、もちろんその中でも運営の工夫が求められます。
これは温浴施設に限ったことではありませんが、お正月がある12月末から1月初旬、GWの4月末から5月初旬、夏休みやお盆の7月~8月。
サービス業にとっては繁忙期になりやすい時期です。
中国のように夏場と冬場で差があるかといえば、ほとんどありません。(寒い時期には忙しくなりやすいですが中国ほどの差異はない)
小雨が降ったりと外に出かけることが難しい天気が続いたり、立地によっては近隣施設のイベントで盛り上がりを見せる要素の方がよほど与える影響が多いかもしれません。
さて、嫌な小見出しになってしまいました。
一昨年の冬から忌まわしきコロナウィルスが世界に蔓延しだしました。
よくよく考えてみてください。
中国の温浴施設にとって最も大事な『冬場』なのです。
一昨年、コロナ禍によって、中国の温浴施設は大ダメージを負いました。
赤字ギリギリで耐えしのいだ閑散期を乗り越え、いざ繁忙期を迎えようとしたところ、密を避ける政策であったり、場合によっては休館を求められた店舗が続出しました。
日本のように政府からの直接的な手当も出ませんでした。
冬になるとまた現れるコロナウィルスに、中国の温浴施設はヤキモキしたものです。
ところが、2022年の春節、上海などの都市部では思わぬ恩恵もありました。
それは市外、省外へ外出に対する厳しい規制です。
この政策自体には賛否両論はありますが、国内旅行に行けなくなった人たちの集客に成功した温浴施設にとっては大きな恩恵になったことも事実です。
日本でも中国でも未だコロナウィルスの脅威に脅かされているサービス業。
少なくない恩恵はフル活用できるように運営策を施していくことが生き残りに重要なポイントです。
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