NEWS/TOPICS

2021-07-01
中国法人の企業名。

日本の法人名には漢字はもちろんカタカナ、ひらがな、ローマ字(アルファベット)の利用が認められています。

ところが中国の法人名はそうはいかず、漢字のみが使われています。

度々弊社にも中国法人の名称を考えてほしい、といった相談を受けることがありますが、そこにはいくつかの問題があります。

企業にとっての法人名は、立ち上げに至るまでの経緯などを感じながら感慨深い瞬間でもあるはずなのですが、まず一つ目の大きな問題は「これにしたい!」と決断をした企業名が一つの案で決まることはなかなかありません。

そもそも上海市での法人設立の際には少なくとも三つの名称案を提出することが推奨されています。

他の海外ではどうか分かりませんが、ボツになる予定の名称まで提出しなければならない、というのは違和感のある作業です。

なぜ3つを用意しなければならないか、というと、企業名が被っていることを極力防止するためだったり、政治的なニュアンスを含んでいたりすることが禁じられているからです。

原則として漢字しか使用できない企業名ですが、漢字は得意だから大丈夫だ!と思っていても、日本人が考えるいい名前だなあ、という感覚と中国人が考える感覚は、場合によっては大きく違うことがあります。

日本の古風な名前で日系企業をアピールしたい、と考えることは多いと思いますが、あまり捻った名前にすると、中国人からすると、ちょっと変な名前になってしまうことも、あります。

これはあくまで一例で、否定する訳ではありませんが、海運会社などでよく見られる、○○組という名前、いくつかの中国の知人から言われたことがありますが、何だか宗教組織のように感じるそうです。

それから、江戸絡みの名称が中国で話題になったのは多くの日本人や温浴関係者にとっても知るところですが、この江戸、という名の読みは何だか親しみやすいというか、聞きやすく、馴染みやすい、しかも日本っぽいという印象があります。

余談ではありますが、昭和、平成、令和という日本の元号を企業名にした例は、既に中国系の企業で実在していて、実際に使用されています。

特に「令和」の認知度は中国でもその名付けられる意味自体(日本独自の年数)を知る人は多くありませんが、それでも少し日本に興味を持っている方ならほとんどが今の日本の元号が令和であるという認識はしていて、ちょっとした日本通という感じなのかもしれません。

ちなみにこの「令和」を企業名にしている中国系企業は、元号が令和に変わってすぐに登記上の企業名を変更していたりして、とにかくブームに乗っかりたい、という貪欲さは感心させられるところです。

また、元々の企業名をあっさり変えてしまうことからも分かる通り、特に中国の中小企業では企業名に対して特別何かの思い入れがなかったりすることも少なくないように思います。

それは3つの案を出している中で、本来名付けたいと考えた名称でなかったりすることが原因なのかもしれませんし、実はこの3つの名称案でも決まらないケースもあります。

場合によっては3つのいずれかの文字をランダムで組み合わされて勝手に決まってしまったり、同じ読みの別の文字を当てはめられたという事例も耳にしたことがあるので、決意を持って決める日本の企業名と違って、なんだかなあと思わされないでもない名称の決め方です。

弊社は株式会社JNGですが、同じようなローマ字2,3文字の企業名は日本にはとても多いと思われますが、こちらもローマ字が認められていないので、日本の企業名を連想して名前を付けるのには苦労させられます。

私の知り合いの企業では社長のお名前をそのまま付けているケースもあり、これもこれで、日本企業であることが一目で分かります。

地名で付ける場合もあれば、英語の名称を感じで当て込んだりすることも多いようです。

また、3文字や4文字で組み合わせれば他社と企業名が被ったりすることが確率的に防げたりもするのです。