過去にたくさんの設備室を見せてもらったことがあります。
中国で見てきた機械室の中で、なるほどこれは上手だと思わされた事例がありますので、今日はそれを紹介しようと思います。
機械室というのは温浴施設を運営する上で、お金を生み出さない場所です。
温浴施設の設計計画をすると、設備側の人間はどうしても設備室を広く持ちたいと考え、収支を重視するクライアント側は少しでもそのお金を生み出さないスペースを省略化しようとします。
設備側は搬入やメンテナンス、以後の機械撤去や取替も踏まえたを余裕を持ちたいと考え、クライアント側は限られた面積を少しでも有効に活用しようとするわけです。
これは当然の成り行きでもあり、ケンカすることこそありませんが、どうしても矛盾する部分ではあります。
中国では一般的にコンクリートの骨組みが既に存在していて、それをショッピングモールにしようか、温浴施設にしようか、と検討することから始まるため、理想通りの面積であることはほとんどなく、必要以上に広かったり狭かったりと、計画に合致する物件を探すのにも、ひと苦労です。
来館者数に季節変動が激しい点も手伝って、どうしても全体的に余裕がありすぎる面積を有しているケースが多いと感じます。
また、どうしても建築設計の専門家がいなかったり、計画が疎かになりがちであることで、無駄なスペースもちらほらと見受けられたりもします。
結果として、中国の機械室は日本と比べて、かなり余裕を持ったスペースを有する場合が多いのです。
中国で広い機械室があるとどういうことが起きるかというと、施設内で使わなくなったモニュメントなどが置かれる倉庫兼用のようになってしまい、やはり計画は重要だと思わされることが多々あるわけです。。。
設備の機械室と倉庫が一緒になってしまったそこでは、数々の工具などが紛失したり、場合によっては自己の危険性も増加してしまう等の問題が山積み。
その上、杜撰な運営管理で負の連鎖が重なりますが、中国で整った環境の実現が難しく、特にお客様から見えない場所の管理は二の次三の次となりがちです。
さて、話は戻って、その感銘を受けた機械室ですが、とあるクライアントの機械室は工具箱がありません。
ベニヤ板にくぎを打ち付け、工具には番号が記されています。
そして、くぎを打ち付けたベニヤ板には油性ペンで色濃くそれぞれの工具の形が描いてあるのです。
設備部門の担当者らは毎日の朝夕礼の引継ぎで、そのベニヤ板をチェックします。
機械室の隅に置かれたベニヤ板は一目瞭然で工具の過不足が確認できるのです。
工具を大事にできないことを怒鳴り続けてもなかなか改善はされません、最小スペースの中でどうやって管理することが最もストレスなく機能させられるのか、それらを考えられる運営管理ができていれば、きっと狭い機械室でも有効活用ができるでしょう。