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2021-07-14
中国建築に関わる法の整備。

昨日のブログにご意見をいただいて、引き続いて蘇州のホテル倒壊に関連する記事を書きたいと思います。

温浴施設のコンサルという立場で多くの現場に立たせていただきましたが、初期の段階で最も回答に困ることがあります。

それは建築工事全体の工程や法的検査による時間管理についてです。

よく中国人はいい加減だと言われますし、実際にいい加減なので(笑)明らかに無理であろう開業日などを定めて各施工会社やメーカーなどに納期を守るように伝達をします。

しかし9割方、、いや100%と言っていいほど、これらの時間的な開業スケジュールは正しくありません。

その原因としては、中国人のいい加減な性格が現れているとも言えますが、一方で頭の良い社長や現場のトップがそんな空想のような青写真を元に行動している訳ではありません。

それらの支離滅裂な開業予定日等は、施工会社やメーカーに対するプレッシャーを掛けるための行為で、場合によってはそれを遵守できなかった対象者に罰金を課せる目的の側面が強いのです。

時間にキッチリしている日本企業はそうした青写真的なスケジュールを聞いて真に受けてしまい、「そんなの不可能だ」とか「これじゃあ納期が間に合わない」などとアタフタしてしまいますが、もちろん罰金を課せられたり支払いの遅延の原因になってはいけませんが、中国企業にはそれらのスケジュールは真剣に捉えなくてもいい、という認識がそもそももあります。

余談になりますが、こうした無理くりなスケジュールに対する罰則は多く契約書に設けられていますが、その時々できちんと言い訳を準備してそれらの過失責任から逃れる手段が上手なのも、また中国施工会社の特徴でもあります。

そしてもう一つが、法的検査による時間管理の点。

例えば今進行中の現場では元々の躯体を生かして工事をするのですが、そこで建築許可を得るための申請が必要となり、独創的なモニュメントである場合は工事としても相当に複雑ともなり、なかなか許可が通りません。

一旦許可をしてしまって、その責任を負いたくない、という人為的な感情も許可をする機関内で渦巻いています。

先日の消防検査もそうですし、あらゆる検査を然るべき機関で検査を実施したり、許可を得なければいけないのですが、それらの基準が曖昧だったり、不確定だったり、というのが中国建築現場の、あるある、なのです。

それから設計図書に関しても、多くの現場では最終的に設計院と呼ばれる設計会社の押印が必要で、それらを元にまた建築施工の許可を得るなど、正規のルートで進めれば相当に手間のかかる作業となり、時間的な見込みが立てにくいのが実際のところです。

中国でも当然、建築に関する法律はあります。

しかし、それらに許可をする機関が法律を熟知、把握しているかと言えばそうでもなく、窓口から担当者から承認する上司にたどり着くのも相当な困難を伴い、時間も相応に必要となるのです。

よく現場が突如として閑散としてしまうことがあります。

それは施主側の資金的な問題である場合も少なくありませんが、申請中の事柄になかなか許可を得られずに施工を止めざるを得ないという背景があります。

もちろんその間にも必要な経費が出てしまいますし、時間も無駄に過ぎてしまうため、予測の段階でもその2つの要素がなかなか決めきれない、というのが中国の施工現場の大きな課題にもなっているのです。