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2021-08-31
中国企業はなぜ運営を他人任せにするのか。その2。

昨日のブログ内で建築工事に対する中国との違いを書きました。

いよいよ本題で、運営をアウトソーシングする中国企業について、私の考えを書いていこうと思います。

そもそもの考え方として、アウトソーシングは何も業務を丸投げすることではありません。

自社の理想を実現するために専門知識のある協力会社に知恵を借り、労力を削減する合理的な考え方であるはずです。

ただ、前項でも述べたように、中国企業同士では相手を信用しない(できない)ので、どうしても長期的な関係を構築しづらく、短期的な取引となるケースが多く、一極集中型の発注形態はリスクを伴う可能性があります。

もちろん例外はありますが、根本的にこれは覆しにくい日中の企業成長の方向性の違いです。

建築工事と同じように運営業務にも当然専門性が必要です。

ただ、この両業務の決定的な違いは、一方は投資であり、一方は営業である点です。

第三者に資金を預けることは嫌うものの、第三者に資金を稼いでもらうことを厭わないのです。

運営のアウトソーシング先(受託企業)としても、収益が挙がらなければ自社が潤うことはないので、このアウトソーシングの形式は、いわゆるリスクの共有となるわけです。

私もレストランの運営や温浴施設の運営に関わる打診をオーナーから何度もいただいたことがありますが、このリスクの共有という言葉はオーナーの口から度々耳にする言葉です。

リスクを共有し、収益を挙げるという明確な目標があるからこそ、中国での運営アウトソーシングが成立しやすいわけです。

リスクを共有することで、互いが信頼し合うことを強要する、そんな歪な状況でしか企業同士が信頼し合うことが難しい、なかなか日本人には理解しづらい原理です。

そのため、一般的にはリスク共有がない運営のアウトソーシングも、基本的には成立が難しいとも言えます。

また仮に合意に至ったとしても、その契約はかなり複雑なものになりがちで、正式な成立に至るまでの道のりも、また簡単ではありません。

さて、もう一つ、中国の企業にとっての新たな事業計画は投資という考え方がとても強いです。

中国企業は中小規模でも投資を好む傾向が強いのです。

手元の資金、もしくは借金をして投資をする、日本人や日本企業ではついついリスクばかり懸念してなかなかできませんが、好景気の中国では投資は効率良い収入源の確保と見られています。

多くの中国企業の計画性の乏しさは指摘できますが、前進あるのみの行動力は感服されます。

資金があるため前向きに投資を進行させますが、日本人からすれば打算的な計画はいずれ壁に当たるのですが、それが運営の部分であることが多いのです。

運営と比較すれば短期集中でできあがる工事と違い、当然運営は長期に続き、しかも収入に直結するため、特に細かい業務が得意な日本企業が求められやすいのも、また理解できる部分かもしれません。

アイデアはあり資金もあるのですが、投資に対する肝心な回収の計画性も杜撰であるケースが多い訳です。

そういう点を含めて考えると、この運営アウトソーシングは日本企業にとっては、交渉さえきちんとまとめられれば、チャンスの多い業界と言えなくもないというのが、私なりの考え方なのです。