今回の訪中にあたっては多くの中国企業と接する機会がありました。
中国の場合、企業、と一言で言っても、特に私が得意とする開発系デベロッパー、投資集団の中小規模のレベルになるとイケイケな中年のオジサンが一人、もしくは数人の幹部で、右だ左だと部下に直接指示を出しているようなケースも多いのが実情です。
その一つの浙江省にあるとある投資家さんのW社長。
彼は私の日系企業M&A企画に対してかなり前のめりでした。
それは面白い!と太鼓判でしたが、私には手持ちで具体的な企業買収案件が少なく、彼を満足させるようなものは現時点では提示できそうにありませんでした。
逆にどういった企業であれば興味がありますか、と尋ねたところ、何度も【認知度】というキーワードを出していました。
浙江省の人は商売上手とよく言われますが、実際に投資に関しては相当シビアです。
W社長の投資も通常日本人の感覚で少なくとも5、6億は必要であろうという投資を3億円で実現してしまっています。
もちろん出来栄え自体は、うーん、、と残念な気持ちにならないでもないですが、投資を回収させるためのものだと捉えれば、実際に2,3年で回収してしまったのですから、それこそが商売上手の所以でしょう。
投資は何も自己のメンツではありませんから、出来栄えは二の次、彼らにとっては投資に対して回収ができたことこそが本質なのです。
実際その後も話を進めていても、その彼が言う【認知度】というのはかなり曖昧なもので、抽象的なものでもありました。
彼なりの感覚、なのでしょうが、逆に言えばそれを利用できる道筋さえ与えてあげれば投資価値のあるM&Aというのは必ず実現できる、という手ごたえを大きく感じた次第でした。