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2020-12-22
中国人に騙された。

最近はおかげさまで、新規のお客様と接見する機会も増えました。

その中には中国での経験豊富な方や企業から、これから発展を遂げていくであろう企業も多くあります。

中国へ参入するのに早いとか遅いという議論が色々ありますが、私がよくお話しさせていただくのは、中国へ参入するのに遅いことは絶対にない、ということです。

簡単に言えばまだまだ中国経済が発展中であるからですが、勢い良く発展しすぎたお陰でまだ穴があるのも中国経済です。

日本と同じやり方をしていては企業としての発展は難しいでしょう、かと言って、日本のプライドを捨ててしまっても企業として魅力のないものになってしまいます。

今回ご相談いただいたのは日本本社のT社長からのご依頼でした。

3年前に中国市場に参入したG社は、製造メーカーとしては中国参入時期としては決して早くないはずですが、とある重要取引先が中国へ参入したことをキッカケとして、中国上海市で事務所を構えることになりました。

当時の社長の意思としては、様々な経営者から中国での成功失敗例を聞いたことで、とにかく、いち早い現地化を目標に定められていたようです。

しかし、スタートは勢いよく飛び出したものの、日本人駐在員のAさんがそれをどう理解し実行するかは手探りでした。

日本では実績があり信頼できるAさんは、T社長の厳命の元、中国人顧客と多く関係を持ちビジネスを展開していきました。

ところが、中国市場への参入から3年が経った現在、売掛金の未回収が相当滞ってしまっていました。

T社長のご依頼を受け、私は現地駐在員のAさんにヒアリングをしたところ、中国人に騙された、というのです。

Aさんは少しお話しするだけですぐ分かるほど、誠実で、真面目な性格であることが分かるような人となりですが、彼なりの結論としては、中国人に騙された結果、このように売掛金が滞ったというのです。

性善説と性悪説でいえば、顧客のために仕事を一生懸命こなし成果を出したのに未回収ばかりで騙された、という性善説的な価値観に基づいています。

残念ながらAさんが顧客のためにどう尽くしたかは性悪説な思考回路で溢れる中国の中では評価されにくいものです。

顧客YはAさんの仕事ぶりに感激を受け、顧客Xを紹介し、またそれが顧客Zとなっていきましたが、彼らの紹介者は同じ穴の狢。

Aさんと表面上は仲良くしていても、支払いの催促も具体的な行動もないので支払いは先送りにされていたのが実際のところでしょう。

Aさん自身は次から次へと受注が取れて、やりがいを持って仕事に臨んでいた気持が痛いほど感じ取れましたが、現地化というT社長からの至上命題を中国市場の中で勘違いしてしまったようにも見受けられました。

真の現地化は中国の市場形成をしっかりと理解すること、その上で日本以上にリスク管理を徹底することこそだと思いますが、日本にはない市場で受注を獲り続けることが現地化と勘違いしてしまったのかもしれません。

AさんやT社長とお話をしていると、私はなぜそんなに冷静なのかと何度も尋ねられました。

もちろん私が外部の人間であることも一因ですが、何よりもどっぷりと現地化を体験したからこそだと思います。

恐らくAさんもいつかそれが騙された、のではなく、中国はこういうものだと気が付く日があると思います。

それに、そうした臨機応変な対応こそが、本当の意味での現地化の一歩だと私は思います。