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2022-01-28
中国ゼロコロナの展望。

□日本のメディアを見た感想

日本に帰国すると日本のテレビや気軽に日本食を食べられる幸せを感じます。

中国に滞在することは私にとってはさほど苦ではありませんが、やはり日本って良いなあ。なあんて感じることも、日本に帰国した後のルーティーンです。

さて、そんな中で自主隔離中はどうしても日本のテレビにかじり付いてしまっているのですが、北京五輪を含め中国に対する日本人、日本メディアの意識は相当高いと感じます。

私が帰国して日本のお客様とお話をさせていただくと、だいたいコロナ関連の話題になり、自然と中国はどうなんだ?という話にもなります。

まず、大前提としてこうしたお話をする度にお伝えしたいのが、相対性と論理的な数値で検証するということです。

例えば中国で10人の感染者が確認された、と報じられますが、中国での10人は日本の人口で単純計算すれば1人である事実です。

もちろん10人が感染したことは事実なのですが、数値そのもので日本と中国を比較するのはあまりにナンセンスですよね。

世界のビデオ映像などを面白おかしく報じるバラエティ番組がありますが、そもそも中国には監視カメラがあまりにも多く、国土は25倍、人口10倍なのですから、それだけ変わった事件が起きるのは必然でもあるわけです。

もちろん中国で生活をしていれば、我々日本人からすれば、呆れるような驚くような、とんでもない事件が比較的多いのも事実かもしれませんが。。。

ただ、あらゆることが10倍の人口だけ事件が起きる前提で、本質を見る、ことというのがどれだけ重要かということに繋がる、その事実は意識しなければなりません。

■中国のゼロコロナは継続困難?

とあるメディアで医療の専門家が中国のゼロコロナは破綻するのは必然だ、と仰っていました。

私も同じような意見でもありつつ、一方でゼロコロナから緩和した政策が打ち出されてほしいと望んでいます。

少し違うのは、この専門家の方は、日本の医療の専門家であり日本ではそれが実現できないから、中国の政治構造の違いを理解しつつも、いくら中国でも難しいはずだ、といったニュアンスに見受けられました。

そして同時にこの専門家の方の意見はあまりに楽観的で、かつ中国を理解していないなとも感じました。

実際経済的な影響は大きく出ているものの、ゼロコロナ政策には現時点でほとんど破綻の傾向は見られません。

ゼロコロナを実施しようと思えば継続できるだけの基礎は既に中国に存在しています。

その一例が以前にも紹介したような、健康码(健康コード)と呼ばれるAPPによる管理です。

日本入国時にも健康管理のAPPのダウンロードがほぼ義務付けられましたが、日常生活を送っている方には関係のないものです。

一方で中国ではショッピングモールや公共交通機関を利用する前など、ほとんどの場合で提示を求められます。

私はどちらの政策や方針が正しいと言うつもりはありません。

ただ、できない、無理、破綻するのは必然、と言い切るには、いくらか根拠に乏しいと思いました。

確かに日本の人権主義や政治的道義などでは難しいかもしれませんが、そこではなく、そもそもIT活用という視点で日本は明らかに遅れていて、それらを実施するノウハウも乏しいと感じるのです。

濃厚接触者に該当をすると、これが黄色や赤色に変化してしまいます。

私はできないことというより、できるだけの下地がないことに危機感を感じてしまうのです。

こうした医療の専門家の方がメディアで堂々と断じてしまうのは、日本の医療とITの連動性レベルが低いと発言するのと同等の行為だと感じざるを得ませんでした。

何も誰かを否定するわけではないのですが、実際中国ではゼロコロナ体制の実施、維持自体は決して不可能なことではないと思っています。

むしろここまでそれらを遵守し、誰もが当たり前のように生活の中にこれらが溶け込んでしまっているのですから、なおさらです。

※もちろん経済的な影響などを含めて、これが正解であるとも思いませんが。

□中国ではゼロコロナ体制に不満が噴出?

これも同様にメディアで取り上げられた表現のされ方でした。

視聴率を取るためであったり、色々な思惑はあるのでしょうが、これまで散々このブログでも記事にしたように、ゼロコロナ体制自体に向けて不満を抱えている中国人の話をほとんど聞くことがありませんでした。

国際空港の入り口で聞き取り調査をしたら不満は出るかもしれませんが(笑)

もちろん政治に批判的な意見を述べられないから、という意味ではありません。

私の感覚では、どうでもいい、が3割で、継続実施すべき、が7割、といった感じでしょうか。

実際に万一、濃厚接触者に該当してしまった場合、いくらなんでも14日の強制隔離は確かにやりすぎなようにも感じます。

これがゼロコロナの弊害となるでしょう。

一方で、濃厚接触者に該当したことがある、という人の話も当然ほとんど聞くことがありませんでした。

SNSの映像や噂話程度ではありました。

親しい知人との間で、コロナに感染するよりも、中国の手荒な運転で交通事故に巻き込まれる可能性が高いんじゃないかと、笑い話をしたことがあります。

これだけ厳しい政策が取られたことで、感染拡大が相当に抑制されているのも事実です。

実際に人口あたりの比率で考えれば、こうした根拠は成立しそうに思いますが、それでも一度緩めてしまえば急激に感染拡大を広めてしまうリスクがあるのが中国のジレンマです。

それから忘れてはならないのが、非接触型の技術が日本以上に中国では続々と開発されていることです。

空港のチェックインは全て自動化に。

破綻も不満が噴出することも私の感覚ではなさそうですが、先述のITとの連動性という意味でも、新しい時代への非接触型への切り替えなどが続々と登場する技術力は日本でも見習うべきように感じます。

とはいえ、中国でも着実に経済的に損失を生み始めており、今後どういう方向へ舵を取っていくのか、こればかりは誰にも分からないことです。

大事なのはメディアによる楽観視や、決め付けをせず、本質を見極めながら正確な情報を的確に収集する、メディアリテラシーを高めることではないか、と改めて感じたところです。

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