□チャンスはあれどリスク管理は十分に
当ブログでは度々企業の宣伝をかねて中国市場への参入を促すような内容のものを書いてきました。
ところが、そのリスク管理の手法や取引企業の実態について何も知らないまま、ただただ販売すれば良いと言いたい訳では、決してありません。
中国から問い合わせがあり、単純にこれは儲かりそうだと手を出して、一度の取引以降は中国国内で模倣品を製造されてしまい、その模倣品が出回ったケースはたくさんあります。
特に特殊な設備。
実は以前は日本でしかほとんど発明、販売されていなかった炭酸泉装置や、人工温泉装置、電気風呂などの装置類は随分前に中国国内でほとんど模倣されてしまっています。
技術を模倣されることも製品も模倣されることも、その製品が素晴らしいものであればあるほど、中国だけではなく海外市場に参入(ただの一回の販売取引でも)することで模倣されてしまうことは避けようがないことです。
しかし、弊社の立場からすれば、日本企業が指をくわえ、ただただ模倣され、その市場を牛耳られてしまう現状があまりに多いことは、とても勿体なく、悲しいことです。
本格的に現地法人を置いて参入せよ!とは言いませんが、海外からの問い合わせで、たった一度の儲かる取引の誘いに乗ってはいけない、ということは強くお伝えしたいところです。
■中国模倣品製造メーカーとの接触
とある日本の企業A社から、A社の設備製品を購入したいと中国の企業から引き合いがあったので、「その問い合わせ先B社に行って話を聞いてきてもらえないか」とご依頼がありました。
問い合わせ先であるB社は日系企業で、貿易関係を生業とする企業でしたが、その問い合わせ内容には専門性を把握している内容でもなく、とにかくA社の設備を販売してくれ、といった一方的な内容でした。
まずB社と電話でコンタクトをしてみると、B社自身も中国の企業のC社から問い合わせに応じて、当該製品を探すよう依頼を受けていたようなのです。
私はB社に対して、その製品を必要としている根本の企業と合わなければ販売はできない、と強く出ました。
B社はともかく、中国企業であるC社による、模倣を心配したからです。
実際に巡り巡って問い合わせ元のC社にたどり着きました。
事前に企業情報を調べたところ、明らかにC社の実態は中国国内におけるA社の同業他社と思われる企業でした。
もちろん、同業他社であったとしても他社の製品を顧客に販売しなければならないこともあるでしょうし、企業情報だけでは、販売の是非が判断できないので、一度そのC社へと訪問し、話を聞いてみることにしました。
当該設備は試運転が必要になるような設備でしたが、C社の要求は設備販売のみ、ということでした。
当初からその点には明白な違和感を持っていたのですが、やはりC社には具体的な販売先はありませんでした。
模倣する気マンマンです。
□模倣して何が悪いの、とでも言わんばかりの中国企業
中国企業であるC社としては、たった一つの問い合わせに何でゾロゾロと日本人がやってくるのか、と訝しげな雰囲気でした。
C社の社長は悪びれる様子もなく、アッサリと模倣する意思を認めました。
元々C社にはA社と同じような製品を製造していましたが、なかなか効果が出なかったり、不具合も頻発する始末。
困ったC社は満を持して優良な製品である日本のA社に目をつけて、模倣の精度をより向上させようと思いA社製品の購入問い合わせに至る、というのがこの問い合わせの全貌でした。
C社社長の話しぶりはA社を褒め称える内容で、決してライバルになりたいとかそうした意思こそ持ち合わせていませんが、ある意味それが逆に怖いところです。
■明確な態度を示したA社社長にはアッパレ
私の依頼者であるA社にも、事の成り行きをご報告しましたが、
「弊社は中国市場に本格参入するつもりこそないが、中国の同業他社に技術提供をするつもりもないし、具体的な納品先がないのであれば、販売については断ってくれ」
とハッキリと主張してくださったので、私としてもホッとしました。
さすがにここまで事情が明らかになれば、多くの日本企業はわざわざ単発の取引業務に色めき立って、自社製品を販売するようなことはないでしょう。
弊社のホームページでも、中国からの問い合わせがあった場合にはまずご相談ください!と謳っています。
もちろん純粋に日本の高品質の製品を欲している中国企業もたくさんあります。
しかし、上記のようなケース、本当に中国ではあまりにも多く存在しています。
海外からの問い合わせだ、商品を販売するだけの簡単な業務だ、中国に送りつけたら試運転もいらないので手間もないな!
などと、軽い気持ちで海外へ向けて自社製品を販売しないでください。
弊社では中国にある企業の簡易与信調査を格安で行っています。
問い合わせ先への訪問や営業代行も喜んでお引き受けいたします。
明確に言えるのは、目先の利益は決して追求しないという方針です。
中国からの問い合わせの時点で、わざわざ得体の知れない弊社に相談しようとはなかなか思っていただけないかも知れませんが、一つでも良い取り引きができるように日本企業のサポートができればと願っております。
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