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2022-02-10
中国の温浴施設の衛生環境。

中国語の日式というのは、いわゆる日本式、という意味で、駐在員の間などではそのまま使用してしまう単語ですが、ここでは日本式(っぽい)温浴施設をテーマに話してみようと思います。

□そもそも日式とはなんぞや。

先述のように日本式、日式という言葉は駐在員や現地の中国人の方からすれば頻出単語の一つです。

日式料理店、日式居酒屋とか、日式サービスなどなど、なんでも日式といえば日本っぽいものが登場するのが中国です。

どこの国の外国料理店も同じようなものかもしれませんが、中には日本人からすれば違和感だらけのものだったり、日本式が徹底できてないと感じる部分も多々ありますが、日式、という言葉が溢れていることは、個人的には日本人として喜んで良いことだと思います。

厳しい視点で見れば何が日本式だよ!と突っ込んでしまいたくもなりますが、海外で生活している人間からすれば、それでも日本っぽい環境があるだけで救われているシーンも少なくありません。

また、ああ中国人は日本のことをこんなふうに感じているんだ、などと勉強になる部分もあります。

■日式は儲かる?

さて、今回は少し踏み込んで書いてしまいますが、某日式を謳う温浴施設のことです。

正直に言ってしまうと、中国という市場では儲かる、儲からないという視点ばかりで物事を見ている傾向が、あまりに強く存在しています。

『投資』という行為では、どうしてもどれだけ儲けるのか、どれだけリターンを増やすのか、という点に重きを置くのは当然でもあります。

しかしそれを重視しすぎるあまり、社会貢献や顧客満足度であったり、更には安全であったりを、軽視しすぎてしまう傾向がより強いのが中国です。

アマちゃんだと呼ばれてしまいそうですが、やはり最終的な勝ち組はこうした金銭的なものだけではなく、安心と安全を提供し、満足度の高いサービスを提供して長期的に営業を展開することでもあるはずです。

実際にはオーナーが日本に行ったこともない、何となく聞いただけ、儲かると聞いたから、というだけで日式を謳うことは少なくありません。

冒頭の通り日式は儲かるのか、という点ですが、特色性を持たせるために『日式』を謳うことで、特徴がない施設よりも儲かりやすい、アイデアがなくても参入しやすい、というのは実際に存在していると思います。

□温浴施設を運営するにあたって絶対に守るべきもの。

先述のように居酒屋だったり、自分と関係のない生活の部分で日式、と自称することは全く問題ないどころか、誇らしいと感じる部分もあるのですが、自身が強く関係する業界での日式については、どうしても厳しい視点をもってしまうものです。

これは日式だろうが韓国式だろうが、欧米式であろうが同じですが、こと温浴施設に限っては施設運営として守らなければならない部分がある、と私は強く主張したいのです。

それは衛生環境について、です。

中国に溢れる日式施設ですが、基本的に中国人が捉える日本は「和風な内装」「清潔」「サービス力」などをイメージされている部分が多いように感じます。

日本を代表するサービス産業である温浴施設ですが、日本であれば法律どうこうだけではなく、衛生管理について徹底されています。

レジオネラ菌に代表される事故などについては運営責任者だけではなく、オーナーも十分理解しているケースが多いはずです。

専門性こそ高いものですが、少なくとも特に事故が発生しやすい部分での予防の観点からも、衛生環境について理解し、徹底するのは、温浴施設運営者として、最も大事な部分ではないでしょうか。

■某温浴施設において

弊社HPの当コラムでは他社を貶めるような記事は書いてきませんでした。

今回も特定されるような記事にはしませんが、某温浴施設で衛生事故が発生しかねない状況を目にしました。

大々的に日式を謳う、現地の日本人駐在者ならほとんどが知っているような、有名な温浴施設です。

そこではろ過循環がされていなかったり、一部消毒がされていないことも暴露されています。

専門家の見地で現地確認しましたが、訪れた当日に複数の浴槽においては、明らかに浄化処理、消毒処理はされていませんでした。

あろうことか、その施設には多くの日本人の著名人?が来店しており、取材などを受けている(サインなども掲載)のです。

著名人がサインすることはさておき、それでも何だろう、本質を見てほしいというのが一点、前提として施設運営者はどういう感情で施設を継続運営しているのか、個人的に悲しい気分にさせられました。

たまたまかもしれませんが、衛生管理の不手際には、たまたまがあってはなりません。

これは日本式の常識です。

大々的に日式を謳ってもらって評判の温浴施設ですが、これは残念でならない事態だと思います。

□表面的な部分ではない、根本こそ日式であって欲しい。

日本の温浴施設は、安心安全が大前提です。

これは今も昔も変わることがありません。

日本といえばお風呂をイメージされる中国人も増えています。

私は個人的に、上海の極楽湯を何度も体験していますが、極楽湯では衛生管理が日本と同等の水準で実施されていることが手にとるように分かりました。

それは(いっぱしの)専門家である私が詳細に見ても感じ取れるものです。

彼らの尽力によって日本のお風呂文化は良い形で中国の方々に楽しんでもらっていると感じます。

和風な内装や日本風の館内着であったりの表面的なコダワリではなく、極楽湯のように衛生環境がきちんと整えられ、日本の温浴施設の素晴らしさを伝えるような『日式』であってほしいと心から思うのでした。

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