日本はお風呂文化がアジアで、もしかしたら世界で最も浸透している国ですが、中国ではそうでもありません。
私の住む上海では家庭用の浴槽がほぼ存在しません。
私も10年前に上海で生活を始めたころには浴槽のある不動産を探しましたが、欧米風の浅く長いバスタブがあっても、高価であったり、立地が悪かったりとそれだけで大幅に選択肢が狭くなってしまうため、ほとんど断念せざるを得ないほどでした。
シャワーを利用することが多いので、一時的な使用量が増えるため各家庭に貯湯用の小さいタンクがあったりするのですが、浴槽でも湯張をするととたんにお湯が足りなくなって、冷水風呂が出来上がったりと、お風呂を堪能するのはなかなか困難です。
私の実感では98%くらいは浴槽がついていません。
ほとんどシャワーで済ませてしまうのです。
そのため、分包の入浴剤など家庭用の浴槽向け製品はほぼ需要がありません。
ある知人は温浴関連のオーナーさんですが、浴槽はあるけど毎日清掃は面倒だし物置になっているとまでおっしゃっていました。
一方東北地方では朝鮮文化があったり、厳しい寒冷地であったりで比較的お風呂に近い文化を持っています。
歩いて数分でチラホラお風呂屋さんが目に付くこともありますが、それでも家庭用の浴槽というのはほとんどないそうです。
温浴施設がレジャー産業として大変注目された上海での下地は、むしろ非日常空間を作り出すことで人気を博しているようです。