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2020-06-29
中国の介護業界。

私が10年近く中国で駐在をしている中で、あちこちから打診を受けて今なお打診を受けたり業界のうわさを聞いてはいるものの、今一歩発展の兆しを感じたことのない業界があります。

それは中国においての介護福祉の業界です。

元々機械系の製品を取り扱うメーカーにいたこともあり、それに関することで介護業界関係者とかかわりを持つことや、これから介護にまつわる業界が発展する、などと聞いて久しいのです。

私のいる上海でも、街には老健施設を見かけることがあります。

都会の中心部に清潔感のあるものもありますが、もう一つは郊外にある老健施設。

上海の都市部から車で30分ほどでしょうか、古い街並みの中の壁に老健施設を案内するスプレー書きがあり、なるほどアスファルトで強引に作られた老人ホームらしきものがあります。

恐ろしく劣悪な印象がある物々しい雰囲気の中にあるそれですが、恐らく多くの中国人のイメージも、都会の中心部にある何でもそろった老健施設ではなく、こちらのイメージの方が強いのかもしれません。

儒教の教えが色濃い中国で両親が老健施設でお世話になる大変抵抗のある出来事で、それを好んで選択することがまず少ないのは、そうした環境の問題もあるのかもしれません。

実際に都会の中心部にあるそれは、インターネットで調べると、とても普通の庶民が両親を預けることができないような価格帯です。

多くの年配者は日本ほど手厚い年金生活を送ることができず、地域によっても異なりますが、いつまでも仕事をしないと生活できない、というような状況も数多目にします。

儒教的思想はさておき、年金やご子息からの補助を踏まえても、老健施設にお世話になるということ自体が現実離れしている認識もありそうです。

結果、先述のような安価であっても劣悪な環境に両親を預けるという選択肢を取ることができないのでしょう。

とはいえ、日本と同じように平均年齢の高まりから、現実的に介護しようがなくなる状況は増えるはずで、介護施設、老健施設の需要が高まることは絶対的でしょう。

しかしながら、日本のように確立された業界では未だない中国では、こうした問題を解決する術がなく、民間が儲かりそうだ、今後波がきそうだ、と思っても潜在的な需要を引き出せていない何かがあるのかもしれません。