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2021-10-07
中国に進出するのは怖いこと?

龍角散のニュースを報道記事で目にしました。

こういうお家騒動的な報道は真実は見えづらく、面白おかしく報道しているのを見て楽しむのは勝手ですが、それが真実だと思いこんでしまうのはメディアの怖いところです。

それは恒大不動産の報道でも一緒ですね。

それは置いておいて、私が気になるのはこうした中国絡みのニュースが上がる度に中国への進出は誤りだ、中国ビジネスは危険だ、といった意見が蔓延る風潮です。

実は龍角散は中国人に大人気の商品で、私も中国人の知人にプレゼントとして持参したりもします。

今回持参したヘビースモーカーのZ社長へのプレゼント

どういう契機で中国人の間で龍角散が流行したかは分かりませんが、製品の品質が認められて認知度が高まっていったことは疑う余地のないものです。

それは紛れもなく龍角散ブランドの技術力、製品の品質が成した素晴らしいことです。

一方で、この一大ブランドの人気商品をどうしたら自社の利益に反映させながら、さらなる流通を図るのかとすれば、そこに多少のリスクが存在するのは致し方ないことなのではないでしょうか。

企業として自信のある製品を海外に向けて販売すること、そもそも販売できるだけの(成功する見込み)可能性がある事自体、素晴らしいことです。

もちろん海外進出は、そんなに単純なことではありませんが、チャレンジすることそのものを否定してしまう、こうした悪循環は、とりわけ日本で多く起こっている現象です。

ここで一つの解答を提示すると、ここまで人気のある製品は中国人のバイヤーが既に日本で買付をして中国で勝手に販売をし始めてしまうのがオチです。

大手ネットショップサイト京東では既に龍角散の製品が多く販売されている

何らかの製品開発をしようと日本の企業が決断する中で、開発当初から海外に目を向けて開発をすすめることはリスクがあまりに高いでしょうし、文化や商習慣が違う海外で成功を収めることは日本で成功を収めることより難しいことも、これまた当然です。

龍角散という製品の場合、日本での流通、販売が第一義であったものが、中国の巨大な市場からも支持を得る結果に繋がりました。

中国版Wikipediaである百度百科には龍角散を紹介するページも

さて、この龍角散ブランドの中国進出について、以下は全く私の個人的な見解で、意見を述べさせていただきます。

私はもう既にここまで中国で販売を望む声が出ている状況下で、自社利益の獲得を第一義として考えるのであれば、大前提として前向きに中国進出をすすめるべきだと思います。

法的整備として、商標権や、中国国内の特許を取得してから、いよいよスタートです。

中国の拠点がない状態でしょうから、販売形態を完全な代理店制度とするのか、自社販売にするのかは悩ましいところですが、中国での代理店制度はそれはそれでかなり複雑で、むしろ進出当初では代理店を管理するのが大変ですので自社販売を推奨します。

自社販売を進めるには拡販にあたってシステムの構築(販売サイトや問い合わせ等の受付機関)が必要となりますが、それこそ最初から焦って大量販売を目論むのではなく、むしろ数量を限定するなどして、プレミアム感の演出、さらなる購買欲求を掻き立てる方がいいかもしれません。

この程度の販売システムであれば、以後の販売量を考えれば大した投資にはなり得ません。

さて、こうして販売を進めていくと気になるのが模倣されることです。

これもストレートに私の個人的な意見をぶつけますと、絶対に起こりうることで不可避なことです。

中国だけではなく海外進出では模倣やライバルの出現は不可避で、日本であっても「〇〇ステーキ」が突如として蔓延ったことを忘れてはいけません。

であるからこそ、自社販売の数量限定は意義があることなのです。

前述のように中国の販売サイトによる個人輸入などは既に行われていて、しかしこれらがなぜそこまで人気を博していないかと言うと、価格の高騰もそうですが、中国の消費者側が商品の真偽を疑うからなのです。

日本人が中国に進出すれば模倣品にやられてしまう、と考えるように、中国人は中国で販売されている製品の真偽をまず疑ってかかる、免疫のようなものが出来上がっているのです。

そのため、中国人は気軽に模倣品が疑われるようなものには、絶対に安易に手を出しません。

嘘のような話ですが、こうした販売サイトでは未だに偽物の商品や類似品があたかも正規品のように販売されているので、中国人の間でもこれは偽物じゃないか?などと、まず疑ってかかります。

それだけ中国人の個人バイヤーは信頼度が低く不特定多数が購入できる販売サイトの信頼性も高くありません

中国の消費者側はその真偽が認められない製品には安易に手を出さない、ネット購入の達人ばかりです。

だからこそ、一気に大量販売をするのではなく、ある程度の限定、特定の販売ルートを確立することがブランド保持には大事なことなのです。

最後にその模倣品への自社としての対策、ですが、これはもうイタチごっこで、それを一つ一つ相手にすることは現実的ではないと考えます。

それは龍角散のような高ブランドであれば更に言えることです。

非常に現実的な話ですが、模倣品の流通が嫌ならいつでもフェードアウトすればいいと思います。

大々的に「中国では模倣品が流通しすぎるので、本物の龍角散ブランドは撤退します」とでもすれば良いのです。

むしろこうした態度が評価される下地が、中国本土の消費者心理にはあります。

模倣品が恥ずかしいことだという意見も少なくありません。

利益重視をするのであれば、やはり一度中国市場に参入したら赤字でもない限りは撤退したくありません。

龍角散の製品が購入できるのはここだけだ、という販売ルートの確立を徹底することです。

消費者を大事にしつつも、模倣品やライバルに対しては、強気の姿勢は崩す必要がありません。

厳しいことを言うと、模倣品や後から現れるライバルに食われてしまうということは、単純に自社製品に魅力がないということです。

自社製品に自信があり、中国市場も獲得したい、という考えがあれば、中国進出に迷う余地は本来ないはずです。

そうした企業の姿勢は、間違いなく中国でも評価される時代になっているのです。

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