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2021-11-03
中国における大卒離職率。

少し前のニュースですが、コロナ禍の影響か、日本の大卒の離職率が31.2%で前年比1.6ポイント減少に転じたという記事がありました。

過去のデータを調べたわけではないものの、私の父親世代、所謂団塊の世代からすれば随分多い印象もあるでしょうが、私自身は転職を繰り返していただけに妥当な数字にも感じます。

日本では一般的に転職組を毛嫌いする傾向があるように、私自身は感じています。

今ではどうか分かりませんが、新卒組とか中途組などと分けられて呼ばれていたこともありましたし、実際に転職をした経験では、その企業からの期待値と言うか、格差のようなものを感じることもありました。

もちろん新卒で数ヶ月で会社を退職してしまうような飽き性なのか、継続性がない人間であると判断されてしまうのは元・転職組としても理解できない部分ではないのですが。

企業として判断が難しいところだとは思いますが、徐々にそうした履歴書にある職歴だけでは判断しにくい多様性は広がっているかも知れません。

さて、中国ではどうでしょうか。

随分前ですが、駐在員時代に中国で大卒の新卒社員を採用したことがあります。

若いのに日本語がかなり堪能で、当時の社員が言うには立派な学歴(当時の私では判断ができない)だと言うので、将来を見据えて採用することにしました。

ところが、作業服は着たくない、現場作業はしたくない、残業はしない、などなど、とにかく幼稚なワガママを地で通してくるような人材でした。

まるでドラマのドクターXのような、あまりに自由な自信家です。

話してみても、うーん、確かに頭がキレるような気がしないでもないような。。。と何だか微妙。

こちらから促したわけでも何でもないのですが、ごくごくわずかな1,2ヶ月で彼は退社を希望しました。

日本とは全く違う新卒社員の振る舞いに呆気にとられるまでもない短命となりましたが、むしろこちらは彼の将来を心配したことを覚えています。

後から分かったことなのですが、中国の大卒の新卒社員は1ヶ月、2ヶ月で退社するようなケースは、かなり当たり前だということです。

10名、20名規模の中小企業でも新卒社員を喜んで雇用することはほとんどありません。

将来を見据えて~なんて言ってる場合じゃないのもあるでしょうが、中国で新卒社員に対する企業の期待値はそれ以上に低いのです。

彼の振る舞いは彼特有ではなく、周囲の多くの中国人からも、新卒社員なんてまあそんなものだろう、と評されることがほとんどでした。

彼ら新卒社員が就職をどのように捉えているかと言うと、平たく言えば社会研修のようなものです。

1、2ヶ月で退職し、また次の会社を経験してみる、さらに次の会社を体験してみて、数年後の20代中盤頃には自分のキャリアを固めるステップに突入する、そんなイメージでしょうか。

入社する当初から、この会社で這い上がってみたい!とか、そんな新鮮な気分もなければ、鼻息も荒くありません。

ちょっと社会の様子でも見てみようか、という程度なのがオチです。

企業からすれば、将来を見据えて若い社員を育成する!なんていうのは夢物語のようです。

もちろん彼らが希望するような大企業であれば話は別です。

まるでブランド品を買い漁るのように企業は高学歴を追い求め、高学歴な人材は大手企業を追い求めるのです。

ですから、職歴に傷がつこうが、日本の履歴書のようなものには書ききれない職歴が溢れていても、中国企業もあまり気にしない傾向が強いです。

その中から本質を見抜き、希望に合致した人材を採用する、というのが中国企業の人事手腕でもあるわけです。

しかし、これらの話はもう10年近くも前の話で、現在も傾向としてはほとんど変わりがないものの、少しずつですが慎重派も増えつつあるようです。

以前のように軽々と転職しにくい背景から、景気動向に合わせて人々の発想が変わるということでしょう。

ですが、やはり社員数が10人前後の中小企業では、新卒社員を育て上げるハードルはあまりに高いことには変わりないでしょう。

さて、こうした多くの新卒社員が一体どういう道を歩みやすいのか、というと、ほとんどは自分のキャリアでは無理だと諦め、20代中盤からぼちぼち身を固める方針に切り替えます。

もう一つは親族が経営していたり、幹部として勤めているような企業にコネ入社をします。

これも意外と多いです。

中国企業に招かれて接待での食事会をすると、円卓の隅っこの方でお酒も飲まず、会話にも参加せず、つまらなさそうにしている社員や、ただただスマホをいじっていて、送り迎えだけを専門にする若い運転手がいたりしませんか?

そうです、彼らこそ、、社長や幹部の身内だったりするのです。

気を許して子供扱いしようものなら、後で大きなしっぺ返しがくるかもしれません(笑)

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