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2020-10-22
中国における企業の幹部社員

先回のブログから反響をいただきましたので、続編を。

結局、当時の私は幹部社員と呼ばれるようなエース社員を育成することがイマイチできませんでした。

とはいえ元々才覚のある上海人の社員については会社の看板を背負って難度の高い交渉事も任せることができましたし、与えた仕事の成果はそれなりに上げることができる人材でした。

幹部落第という訳ではなく、できるけど、出世はしたくない、責任の重い仕事をしたくないし、残業もほどほどしか無理という、仕事に向かう根本的なところが問題だった訳です。

こうした問題を抱える日系企業は、当時私が知る限りでも少なくなかったと思いますし、上海人の特徴としてプライドが高いなどと聞くことがありますが、プライドが高いことが仕事で影響することは稀だと思いますが、幹部社員としての一線を越えられない人材も多かったような印象はあります。

また家族を大切にする中国人は上海人に限らず多いのは特徴としてありますし、むしろ身を粉にして働く像というのは日本ならではという言い方もできるかもしれません。

前提として海外で日本の理想像を思い描いてはいけないというのは、海外で事業をするにあたって初歩の初歩でもありますが、こうあって欲しいと願ってしまうのも上司の悩みでもありますね。

と、まあ愚痴っぽくなってしまったので、では中国系のローカル企業ではどうなのか、というと、さすが広い中国で様々な幹部社員の方がいます。

上海における中国ローカル企業はハッキリ二つに分かれます。

上海人の社長に上海人の部下ばかりの上海人縛りの企業。

もう一つは比較的大きな企業になると、完全実力主義の結果なのか、上海人もいれば近郊から出稼ぎに来て上海へ移住してきた人材などが堂々と幹部として職務に当たっている企業。

これは地方都市でも同じような傾向があるのかなあと感じますが、それでも私のインパクトに残る敏腕社員の方っていうのは、意外にもその地域ではなく、どちらかと言うと田舎から都会へ出てきたようなタイプなのです。

山東省青島市で思い出すことがあります。

とあるプロジェクトの営業で日本製品を販売しに何度も足を運んだのですが、なかなか受注ができない状況が続いていて、金額的な問題もあり現場での決裁は難しい、ということで現れた彼らの上司、W氏でした。

中国有数の超大手企業の中にあって30歳半ばというまだ若い印象の彼は、今まで打ち合わせをしていた中年社員達の上司にあたる訳です。

今まで打ち合わせをしていた中年社員達はW氏が現場に来ると急にこわばった様子で、それ自体でW氏の上司としての才覚を感じさせられるのですが、W氏は(中国人にしては珍しく)名刺をささっと交換すると、外国人の私に遠慮することなく、中国語で矢継ぎ早に、商品について聞いてきました。

貴社の商品はどんなものですか?なぜ他社よりも高い価格なのですか?特徴は何ですか?どういうメリットがありますか?などと1~100まですさまじい勢いで、怒涛の質問攻めに遭ったのでした。

就職活動での圧迫面接のような、刑事ドラマの取り調べのような状態で、急な出来事に困惑しながらも何とか答えていたのですが、それが終わると挨拶もそこそもに、さっさと別の仕事場へ向かったのでした。

あまりのスピード感に呆気に取られてしまったのですが、その後はいつものメンバーで夕食をとることになります。

そこでは当然W氏の話題になるのですが、聞いたこともない田舎の出身で、有名大学を卒業した後に、この超大手企業の部長クラスの座まで上り詰めたというのです。

冗談も言う暇を与えられず、矢継ぎ早の質問にすっかり真っ裸にされてしまったような感じでしたが、中国で出世欲を持って出世をする人はこんな感じなんだなあと思わされた出来事でした。

結局のところ出身地で才能が決められるわけでは当然なく、才能があり努力をする人はこうした超大手企業にとっては出身地などは関係ないんだと思わされた次第ですが、こんな優秀な人材を手にするというのもそうそう簡単にはいかないのもまた現実かもしれません。