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2020-10-22
中国で幹部になる素質。

今日は突然ですが、この話題。

今回の話は、あくまで個人的な主観が多く含まれています、内容についてはあくまで私の経験上での主観ですので、その点ご了承ください。

私は中国で10年近く日本人駐在員として、総経理、副総経理という職位の高い肩書で職務に就かせていただきましたが、なかなか右腕というか、確実にナンバー2と言えるような確固たる人材を育てることができなかったかもしれません。

もちろん、ナンバー2なのかナンバー3なのか、幹部候補生と言えそうな人材は2,3名抱えることができましたが、組織作りの難しさしかり、幹部の育成も中国ではなかなか難しいのが個人的な感覚です。

特に上海という大都市で活動をしていたことで、そこには一つの大きな問題点が存在していたように感じます。

私が最初に上海に生活基盤を置き始めた2010年前後は、外地から出稼ぎに来る労働者と、上海人という存在に明らかな壁があったようで、外国人の私は別ですが、そうした差別的な扱いは今も変わらず少なからず上海人の脳裏の根底には存在しているようです。

もちろん全ての上海人がプライドが高いと言う訳ではありませんが、そういう傾向は確かにあるでしょう。

また、当時の働き盛りのサラリーマン、70年、80年代生まれの世代の上海人と、俗にいう外地からの出稼ぎ勢では、比較的裕福な生活を送れていた上海人は教育レベルが外地の人より恵まれていたのも確かに事実でした。

日本人の我々からすれば、とんでもない行動を起こしたりするのが外地の人というのも確かにありました。

しかし、外地からの人で優れた部分も当然あって、傾向として、ではありますが、純朴な人が多く、また、労を厭わないことも最大の傾向でした。

さて、幹部の育成に話を戻しますと、一般的な傾向として、最初からある程度戦力として期待ができる上海人、努力ができるので大化けする可能性を秘めた外地人。

こうした傾向は少なくともあると思います。

人材評価の中で私が感じたのは、ユーティリティ性の高い、応用力のある仕事ができる上海人と、学校を卒業したらすぐに現場に入ったりと一つ部門に対しての知識や経験が豊富な外地人という見方もできました。

幹部ともなれば、一つ部門にどれだけ長けているだけではなく、コストを考えたり、効率を考えたりと、会社全体の状況を把握しなければならず、そういう点では外地人の傾向としてどうしても全体を指示できるような立場になるのは難しく、ある部門リーダーとしては活躍できても、その一つ上の幹部レベルになるには大きな壁があるのも外地人の課題でした。

また家庭の都合で故郷に帰らなければいけないという根本的なアドバンテージもあります。

そもそもの就業における定着率も上海人のほうが明らかに高いのです。

そういう中でどうしても上海人が出世のトップに躍り出る、というのは上海に基盤を置いた企業であれば、どうしても単純に辿り着きやすいゴールとなりやすいと、私は感じていました。

しかし、その後また一つ大きな壁がありました。

当時期待していた一人の幹部候補生の上海人の大きな課題、それは、彼自身が上長になることを敬遠していることでした。

というのも、恵まれた環境で家庭を持ち、子供も大きくなり、両親が高齢になると今度は仕事ばかりではいられない状況になってしまい、出世欲や野心に大きく欠けていました。

仕事の能力もある、任せた仕事の解決率も高い、それなのに副総経理にはなりたくない、とハッキリ言われてしまえばどうしようもありません。

家庭なんてどうでもいい!とも当然言えませんし、これはもうお手上げです。

幹部になる人はどうしても貪欲さがなければ務まりません、これはもう根本的な資質ともいえるかもしれません。