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2021-01-29
中国でのリモートワーク。

日本ではコロナ禍でのラッシュ回避などと照らし合わせて昨年から流行ワードともなったリモートワーク、在宅勤務や時差出勤。

中国ではコロナ禍によってそれらが流行ることもなければ、残念ながら今をもってしても従業員さんのモチベーションが維持することが困難である遠隔操作は否定的な意見も少なくありません。

時差出勤は確かに一時採用しているケースは少なくなかったのですが、結果的にはやはり周りに合わせて通常通りという形に落ち着くのがほとんどでしょう。

以前もこちらのブログでリモートワークが難しいことを話題としましたが、やはり日本人よりも更にリモートワークに適さないとイメージ通りの印象があります。

ただ、日系企業の場合は、担当者や責任者が帰国してしまって戻れなくなってしまったり、リモートワークというより、そもそもテレビ会議で日中を繋ぐケースも少なくないでしょう。

実際に私自身も少し大きなプロジェクトレベルになればプロジェクターを利用して会議を行うことは中国でも見慣れた光景ではありました。

今回は日系企業での日本人駐在者が帰国後に戻れなくなってしまったケースでのテレワークの具体例を紹介したいと思います。

弊社に問い合わせをいただいた北関東のとある製造メーカーY社も全く同じ状況でした。

昨年日本人の駐在者3名のうち2名が帰国、そのまま日本で半年以上日本の仕事に従事していたので、これを機に中国事業への日本人人員をスリム化したいということでした。

これは確かに正しい結論で、実際に多くの日系企業が日本人人材の派遣過多に陥ってリスクと費用がどちらもかさんでしまうケースが少なくないように感じます。

しかし一方で、引継ぎ期間などもなく、2名の帰国者がいつ戻れるか分からないというあやふやな面もあり、このまま自然発生的に帰任に結びつけるのも何かとリスクのある話に感じました。

そこで具体的に提案させていただいたのは2点。

まずは帰任や赴任という形にとらわれず、中国事業者の中国人従業員に向けては2名は無期限的に中国事業の担当者とさせることです。

このY社の場合、日本に帰国せずに中国に残っていたのは管理職のトップ、総経理でした。

実際に彼がいれば会社はあらゆることにおいて大混乱をもたらすことはなかったのですが、帰国した2名の駐在員にもそれぞれ多くの部下がおり、彼らからすれば身近な上司不在で、モチベーションを維持するのは難しい側面もありました。

そのため、帰国者2名はいずれ戻ることを前提にすることで、安心感を与えること、そして上司の立場を明確にすることで、業務の指示系統をまずは明確にしておくことを重視したらどうか、と提案を差し上げました。

次に定期的、週一度という短いスパンの決まった日時でオンライン会議をすることです。

帰国者の日本人2名が優れた上司であることは、中国人の従業員さんからもハッキリと聞き取りができたこと、それに代わる中国人人材がまだ明確に決めきれないという経営陣の考え方からも、やはり日本人の彼らを中心として暫定的に部隊を動かしていくことが正解だと考えました。

そのため前述のように彼らは精神的な支柱として存在感を保持しつつ、指示系統の明確化を印象付けるために短期間でのオンライン会議で陣頭指揮を執らせることにしてもらいました。

少なくない中国人従業員には金銭的なモチベーションだけが異様に高かったりもしますが、それでもY社には社歴の長い中国人従業員が多く、彼らは日本人駐在者から学べることを意欲としている傾向が非常に強く感じられました。

日本人駐在者は総経理と合わせて別でオンライン会議を定期的に行い、総経理から現地の状況を報告する形で情報を収集し、それに合わせてある程度の状況を把握しながら会議に臨みます。

そうすることで中国人従業員も帰国した2名はまだ中国の状況をこれほど把握してくれているという安心感も与えることができると考えました。

会社への帰属意識が強い中国人は上司や本社から中国の事業を認められているという認識を与えることでモチベーションを維持することが可能です。

それを継続させるにはやはり面倒ではあるものの短期的な会議で顔を合わせることが重要だと考えたのです。

Y社の社長には重要な人材である帰国者の2名は大変ではあるものの週に一度の会議に合わせて中国事業を担当してもらい、それ以外は日本での方針に従ってもらうことにしてはどうかと説得しました。

コロナ禍が長引けばもう一度考え直すタイミングがあるかもしれませんが、まずは2名の駐在員が中国に対しての影響力を発揮しておいた方が良いことを説明させていただき、1人で奮闘する総経理の負担も鑑みてそのように方針を定めました。

テレワークがただの形式行事になってしまっては意味がありません。

短期的で継続的に中国事業に対して影響力を発揮することは手間ではありますが、そうした手間がなければ遠隔で中国事業を進めていくことはかなり難しいのです。