NEWS/TOPICS

2020-12-09
上海株式市場。

少し時間があったので上海の株式市場について少し時間を割いて見てみました。

日本の株価にせよ、中国の株価にせよ、その株価が実体経済を反映しているかどうかは正直、謎です。

しかし、全く実体経済を反映しないという訳でもなく、業態を紐解いてみると、その傾向はより掴みやすいものと言えるようになるはずです。

上海株式の傾向ですが、2,3月にコロナショックで株価に大きく影響をしました。

日本の株価が3月初旬に一気に影響を受けたので、中国では第一波の影響が日本より早くに影響を受けていたことが分かります。

23,000円が16,000円台へと、1か月も経たないうちにあれよあれよと下落の一途を辿ったのに対し、中国は2月に入ってから3,100元台が2,700元へ一旦値下がりし、再び3,000元台まで戻した後に、3月になると今度は2,600元台を底値としました。

日本の下落率が30%近いのに対して、中国は20%足らずでしたが、この下落率はほとんど意味を為さないかもしれません。

その後上海株式市場は2660元近くまで値を下げた後、ジリジリと値を上げ始め、7月に入ると一気に3,500元に辿り着くほどまで値を上げました。

これも不透明な部分が少なくないのですが、確かにこの頃には中国では既にコロナ禍も比較的安定しだしていたこともまた事実です。

日本はというと5月からⅤ字回復を見せ、6月には元の値に戻すと、再び11月頃から上昇気流にのって26,000円台を記録しています。

正直どちらも夏ごろから株価の動きが実体経済と異なるような動きをしているように見え、特に日本ではまだコロナ禍から完全に脱出していないので、なんだか数字ゲームのような様相、と言ったところでしょうか。

全体像はさておき、実際に中国ではコロナ禍は一旦収まりを見せていることは世の中を見まわしてみても事実かもしれません。

話を上海株式市場に戻し、よりミクロな業界ごとで見て、注目したいのが保険株、銀行株、貿易、旅行株の4つです。

まず保険株、7月に一気に上昇カーブを描いた上海市場の株価ですが、保険株はそれよりも早く、5、6月と堅実に回復傾向が見て取れました。

7、8月も同じように上昇気流を描いたまま12月に再高値を記録しているのは、中国人寿や中国平安など大手の株価が表しているところです。

もちろんこのコロナ禍による影響が大きいのでしょうが、保険業界というのは以前から私も気にしていた業界で、人々が安定した生活水準を手に入れ出した今後も上昇が注目される業界だと思っています。

銀行株は三者三様で、これは深堀しなければ分からないところでした。

7月に一気に回復するのはどこも同様の傾向でしたが、W字を描いた農業銀行、W字を更に11、12月に伸ばした建設銀行、交通銀行はW字にはならず、7月で一旦Ⅴ字回復を記録した後に底値を更新するなど、異なる軌跡を描いています。

これはもっと分析しなければ何も分かりませんが、日本と同様、決して安定した業界とはとても言えなさそうだという点が印象的です。

貿易業界は更に厳しい傾向が続いています。

国内が復調気配であっても国外はコロナ禍に喘いでおり、先日会計会社の知人とも話していましたが、最も厳しい業界の一つかもしれません。

株価も7月に一旦回復したものの、他業種と比べ伸び率も芳しくなく、その後も完全に伸び悩んでいます。

最後にホテル・飲食の業界欄があったので見てみたのですが、何度も言うように実態を反映しているかは微妙なところですが、7月を契機に更に伸ばして現在年度最高値を更新している状態です。

確かに内需の強まりは感じないでもないのですが、旅行の雰囲気があるかというとまだまだ微妙と感じます。

しかし、貿易が明らかな伸び悩みを表しているのと対照的であることは、やはり内需の伸びへの期待の表れと言えるかもしれません。