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2020-12-05
なぜ?と中国人の過程。

先日とあるビジネス本で上司が部下に対してのなぜ?という言葉はあまり使わない方が良いとありました。

上司が部下から何かの報告を受けたときに、なぜ?どうして?と尋ねても建設的な会話にはならないからです。

あなたの考えは良いかもしれない、でもこうしたらもっと良くなるよ。

こう説明したほうが相手は理解しやすいし、相手が新しい発想を持つことができるからです。

なぜそんな考え方なの?

と聞いたところで、それが上司の常識的に誤っているのであれば、それを追及しても大きな意味がないということです。

一方通行の質疑になって、部下が委縮したり、たとえ上司の考え方が正しかったとしても押し付けられて仕事をしても前向きに取り組むことができないでしょう。

より良い答えを導く、アドバイスを送ることが大事ということです。

しかし私も人間ですから、とっさになぜこのような考え方に至ったのかと聞いてしまいたくなるものです。

特に私のように外国人と仕事をしていれば、価値観そのものが異なる訳ですから、彼らが持ってくる答えに対して疑問の念を持つことはどうしても絶えずある訳です。

また、なぜ、という発想自体はビジネスにおいて決して否定されるべき物でもありません。

例えば逆に部下の立場であれば、上司の意見が理解できなければ理解ができるまでなぜ?と繰り返し質問をするべきです。

上司の意見を理解できなければ、その指示に従っても良い結果を出すことはできないからで、これは顧客に対しても同様のことが言えます。

私自身も、上司や部下の関係を越えて、中国人の思考回路になぜ?と考えることが毎日のようにありますが、理解できるできないは別として、彼らを知ろうと思うことは絶対的に大切なことです。

むしろそうした発想がなければ、成長することも難しいはずです。

さて、何だかビジネス論のようになってしまいましたが、この日本人が中国人に抱くなぜ?は価値観の違い方からくるものがほとんでしょう。

過程を重視する傾向の強い日本人は、様々な分岐点に遭遇した時に、立ち止まって地図を見て、右か左か正しい方を判断してからようやく歩み始めます。

一方の中国人は歩みを止めることなく、とにかく右か左か決めて進みます。

その後進めないことが分かればそこでも歩みを止めることなく再び分岐点に戻り異なる方向へ歩き出す訳です。

この理論の差異に困惑することは、中国でビジネスをすれば毎日のようにあります。

今では逆に、私の方が計画性もなく、えいやっと決断ができるようになった気もします。

どちらが正しいということではないので、自分自身で、なぜ、なにを繰り返して、そうした考え方の違いを理解しつつ、企業としてより良い方向へ進むことこそが、成功への近道かもしれません。